ネット越しの会話と笑い声。ピックルボールが繋ぐ「誰もが混ざり合う」未来
プレーヤー同士の物理的な距離が近く、試合中でもお互いを讃え合う言葉やハイタッチが自然と飛び交う photo by Yoshio Yoshidaピックルボールのコートは非常にコンパクトです。特に試合中、「キッチン」のラインぎりぎりまで前に出て、短いボールを打ち合う場面では、ネットを挟んだ相手との距離がとても近くなります。
「距離が近いので、プレー中にも自然とコミュニケーションが生まれるんです。相手を讃え合ったり、ポイントを取れば味方同士でハイタッチをしたり。どこをカバーしてほしいかといった戦術の相談も頻繁にします。遠慮したりネガティブな気持ちになったりする空気がなく、純粋に会話を楽しめますね」(眞田選手)
実際に眞田選手が参加している練習現場や大会でも、70代のシニアプレーヤーから小学生くらいの子どもたちまでが、一緒になって同じコートで汗を流しているそうです。「参加者の半数近くが、これまでスポーツの経験がなかった人たちなんですよ」と眞田選手も驚きます。
現場ではごく自然に「今度、一緒にあの大会に出ましょうよ!」と声を掛け合い、新しいコミュニティやチームが結成されていく光景を何度も目にしてきたと言います。こうしたエピソードからも、ピックルボールが単なる運動不足解消にとどまらず、世代を超えた孤独解消やコミュニティ形成のツールとして素晴らしい力を秘めていることがわかります。
最後に、ピックルボールの今後の展望について伺いました。
「世界中でプロツアーが開催され、賞金大会もどんどん増えています。日本でも7月に宇都宮で賞金大会が実施されたりと、競技志向の盛り上がりを見せています。今後はオリンピックやパラリンピックの正式競技になっていくのではないかと強く期待しています。
ただ、そうして競技レベルが上がっていく一方で、エンジョイ層の人たちも変わらずに楽しめるのが、このスポーツの最大の良さです。ハードルが低く、誰でも気軽に参加できるピックルボールを通して、健康を促進し、日本中を元気にしていってほしいという大きな期待を持っています」
コートが狭く、折りたたみ式のネットを使えばどこでも簡単に設営できるため、最近では銀座の地下や東京タワーの中など、身近なおしゃれスポットにもコートが誕生しつつあるそうです。「昔の卓球ラウンジのように、お酒や会話を楽しみながらプレーするスポーツとしても取り入れてもらえたら」と眞田選手。年齢も、運動神経も、障がいの有無も関係なく、誰もが同じコートで笑い合えるピックルボールの自由で新しい楽しみ方は、日本でもこれからさらに広がっていきそうです。
text and photo by Yoshio Yoshida(Parasapo Lab)
写真提供:眞田卓
