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「意志が弱いから続かない」は間違いだった…人の行動の9割を支配する「脳のクセ」の正体

「意志が弱いから続かない」は間違いだった…人の行動の9割を支配する「脳のクセ」の正体

ダイエットを始めても三日坊主。禁煙を決意しても、つい一本。勉強や運動、早起きもなかなか続かない――。「自分は意志が弱い」と落ち込んだ経験がある人は少なくないだろう。だが、行動経済学の研究によれば、こうした「頭ではわかっているのに、できない」という現象は、意志の強さや性格だけの問題ではないという。実は、人の行動の9割は「なんとなく」「つい」といった直感に支配されている。私たちを無意識のうちに動かしている「脳のクセ」とは何なのか。「すぐやる人の脳のクセ!科学的に自分を動かす62のコツ」から一部を抜粋、編集してお届けする。

人の行動の9割は「直感」が支配している

こんにちは、行動経済学者の竹林正樹と申します。私は今まで、「頭ではわかっているのに、なぜ行動に移せないのか?」という多くの人が抱える課題に向き合ってきました。

ダイエットしたいのに、3日坊主で終わってしまう人。貯金したいのに、オンラインショッピングで衝動買いしてしまう人。禁煙すると決意したのに、来週からでいいやとタバコを吸ってしまう人。この本を手にしたあなたも、このような願望と行動のズレに悩んだ経験があるはずです。

行動経済学とは、誘惑に飛びついてしまうような状況で、どうすれば望ましい行動ができるようになるのかを解き明かす学問です。そして、その数多くの研究から、重要なことがわかりました。

それは「頭ではわかっているのに行動できない」という現象は、誰もが共通して持っている「パターン化された性質」だということです。人の行動の9割は、「なんとなく」「つい」「気づいたら」といった直感に支配されており、「じっくり考えて行動しているわけではない」のです。

つまり、あなたが望む行動ができないのは、あなたが人である以上、仕方のないこと。あなたの意志の強さや性格とは、あまり関係がないということです。

これを証明する面白い実験があります。人の脳内信号を測定したところ、「手を伸ばす」という行動が、「手を伸ばそう」という思考よりも0.何秒か早く起きていることがわかりました。

こうした研究から、人は、「考えてから行動している」ではなく、直感で行動してから理由を考えていることが示されました。

しかし、人が生活するうえで、「無意識に行動しているシーン」のほうが、はるかに多いのです。たとえば、コンビニでよく買うお菓子を手に取るとき。スマホを開いてSNSを見るとき。誰かの話に「うん」とうなずくとき。こうした何気ない行動の背後では、理性よりも先に「直感」で動いています。

「脳のクセ」は、認知バイアスと呼ばれる

理性は、じっくり考えたり、判断したりするときに働く「冷静な司令塔」です。しかし、長時間フル稼働するのは苦手で、エネルギーの消耗も激しいです。

一方、直感はほとんど無意識に動くため、スピードもスタミナも抜群。「面倒なことはしたくない」「すぐにラクになりたい」という欲求にとても忠実です。つまり、何も対策をしなければ、いつでも直感のほうが優勢です。

この「脳のクセ」は、専門用語で認知バイアスと呼ばれています。そして、この認知バイアスをうまく活用して、人の行動を自然に、望ましい方向へと導く工夫がナッジです(ナッジはもともと「そっと後押しする」という意味の英語です)。

たとえば、レジ前に貼られた足型のステッカー。それがあることで、多くの人は自然と整列しはじめます。また、「いつもキレイに使っていただき、ありがとうございます」という一言を見た人は、トイレの使い方が丁寧になることもあります。

これらは、認知バイアスの特性に働きかけたナッジの好例です。つまり、ナッジという小さな仕掛けを使うことで、強制するわけでも、命令するわけでもなく、自然と行動を変えることができるのです。

ともすると、思うような行動ができない理由は、認知バイアスに合ったナッジがなかっただけである可能性が大きいのです。

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