県が肝いり「ワンヘルス」事業 5年で約60億円投じるも…
危機を回避したかに見える蔵内議長。だが事態はそれほど簡単ではない。蔵内氏が主導してきた施策への疑問が高まっているのだ。
「人と動物の健康と環境を一体で守っていく、とする『ワンヘルス』という考えに絡む事業を福岡県は進めてきました。獣医師で世界獣医師会会長でもある蔵内議長が旗振り役で、部下のようにふるまってきた服部誠太郎知事が従うように進めてきました。県民が中身を理解しているといい難いこの施策に県は5年で約60億円も使っています」
そう話す野党系の県政界関係者が具体例を挙げる。
「問題の豪華海外視察も蔵内氏はワンヘルス関係の行事出席を目的に出かけているものがあります。福岡市の舞鶴公園に6千万円を投じて整備した『ワンヘルスパーク』は、メインの馬術体験の利用者が一日平均一人しかおらず、赤字のまま閉園しました。
蔵内氏の地元、筑後市の筑後広域公園には3億円を投じた『ワンヘルスモニュメント』があり、みやま市では体験ゾーンつきの保健衛生施設『ワンヘルスセンター』が総事業費200億円規模で建設中です。これには地元みやま市議会が政策の必要性を検証するよう求める意見書を8月になって全会一致で採択しています」(関係者)
そのワンヘルスモニュメントは炭素繊維でつくった二重らせんがゲートのようになっており、説明には「われわれの生態系をやわらかく結びつける象徴となるゲートです」と書かれている。そのそばで妻と2人で見物に来たという60代のAさんに感想を聞いてみた。
「私は県OBですがワンヘルスなんてさっぱり分からない。蔵内さんが専門の動物に、人と環境をくっつければ誰も事業に反対しないと思ってるんじゃないですかね。
この公園にはこれ以外にもおかしなもの(造形物)が増えてきたんですが、もうやりすぎ。そういう税金の使い方はやめないと」
地元民は「ワンヘルスはいまだに意味が分かりません」
地元出身の40代のBさん(男性)も炎天下の中を友人と訪れたが複雑な表情だ。
「蔵内さんの金銭疑惑はまだ証明されたものではないので何とも言えないです。ワンヘルスは意味不明です。“ワン”なので最初は犬の健康運動かと思っていました。ただ、この公園は住民が集まるイベントも多く無駄ではないですが、このモニュメントは無駄ですね(笑)」(Bさん)
問題が拡大する中、服部知事は8月になってメディアに「行革審の答申をいただくまでは、今の段階で未着工の(ワンヘルス関連)事業等については当面凍結をしたい」と表明。「(蔵内氏への)過度な配慮、忖度(そんたく)が生じるような関係は一切絶っていく」とも話し、蔵内氏と距離を置く姿勢を強調している。
7月ごろから見せ始めたこうした動きに先の県政界関係者は「服部知事が蔵内議長の“露払い”の役割をしているのは変わらず、2人で軟着陸を探っているだけ。出来レースです」とこき下ろす。大荒れの福岡の政界が落ち着く兆しはまったくない――。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

