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春原優衣が語る、技術選との出会いと“人生を変えた一本”

選手よりも緊張した、初の全日本ジャッジ

引退を発表し、翌シーズンの全日本技術選。春原は出場選手としてではなく、ジャッジとして審査員席に座っていた。

「事前に『ジャッジとして協力してくれませんか?』と連絡を受けました。一応断ることもできるのですが、これまで選手としてやってきて、ジャッジってどういう気持ちで点数をつけているんだろうと興味はありました。その立場を経験して、これまでやってきた15年間を受け入れようと思って。あと、声かけてもらえるうちが華がある、じゃないですけど(笑)」

緊張した面持ちでジャッジ席に座る春原

まだジャッジは早すぎるかもしれないという気持ちもあったが、ついこの間まで現役だった利点を活かし、選手の気持ちがわかるジャッジとして、引退後初の全日本に挑んだ。

「本当に選手の時よりも緊張しました。ジャッジの席から見るコースは選手時代に見ていたものとは全く違いましたし……現役の時、もっと自由に滑っていたら点数のつけられ方も違っただろうな、と思います。」

ジャッジとして多くの選手の滑りを見て、選手一人ひとりの表現に感動したという。

「全員に100点をつけたいくらいです。選手の時もコースを下から見ることはたくさんありましたが、その時とはまた違った感覚というか。ここでしか見えないものがあるんだなって思います。それが何なのかは、まだ経験が浅いのでわかりませんが(笑)」

今回の全日本技術選のジャッジを振り返り、特に印象に残った選手として女子の大場朱莉選手を挙げ、「彼女のタイガーのロングターンは抜群だった」と絶賛した。

春原絶賛の大場選手(右)の滑りはInstagramでチェックしてみよう

「彼女はアルペンの時から憧れです。その頃からロングターンが抜群に上手いんです。今回もダイナミックな滑りに鳥肌が立ちました。スピードもタイミングもばっちりで、朱莉さんの良さが全面に出ていたと思います。」

ついこの間まで同じように選手として戦ってきた。だからこそわかることも多かった。

「点数をつける、ということは選手に寄り添いすぎちゃいけない。でもそこは自分を殺さないと、点数を打つロボットにならなくちゃと思いました。その人の良さが出ていると点数打ちやすいのですが、そうでなかった時は、ごめんなさい……と目を瞑りながら打つこともありました。ミスをしてしまった彼らの気持ちもすごいわかるんです。
はじめての全日本ジャッジは楽しかったし感動もたくさんしたけれど、やっぱり苦しくて寝込みそうになりました。」

人との出会いは人生の宝

スキー大学でのひとコマ。長年ともに戦った栗山未来(左下)の目にも涙が浮かぶ

技術選プレイヤーとして活動する傍ら、SAJナショナルデモンストレーター(通称 Nデモ)としても活動をしていた春原。デモンストレーターとは全国のSAJ公認のスキースクールに勤務するインストラクターの先生ともいえる存在だ。先生の先生として、研修会を行ったり、スキー技術の向上を行っている。

「私にとってデモンストレーターは、いろんな人と出会うきっかけになってくれました。もともと長野在住なので、他のエリアに行くこともなかったのですが、デモンストレーターになると全国の研修会をまわったりします。私はあえて鳥取とか広島とか、遠方を希望して行かせてもらいました。Nデモになったおかげで自分を知ってもらえる機会になったり、普段なかなか行けない場所に行けたり、Nデモという立場を使って多くの人に出会えることが多かったです。
私にとって『人との出会いは人生の宝』だと思っているので、そのきっかけをNデモになったことでもらえたのが一番良かったです。」

Nデモとして携わる研修会では、現地のブロック技術員や先生たちから学ぶことも多く、自分を育ててくれたのは、そうした現場にいる“本物のプロ”たちだったと語る。

研修会にてNデモとして指導を行う春原

「全国をまわると、現地のブロック技術員とか専門の先生たちのほうがよっぽど経験値が高くて、この人たちと一緒に研修していくっていうなかでもすごく勉強させてもらうことも多かったですし、皆さんにこの春原優衣を作ってもらったっていう感じがします。自分でこの立場を掴んだって感じはもう全然ないですね。」

そして春原には欠かせない戦友たちがいる。栗山未来(写真左)と青木美和(写真中央)のふたりだ。

「年齢も違えばスタイルも違い、常に優勝を狙うライバル同士でした。けれども互いにリスペクトし合い、誰が勝っても称え合える関係でした。デモンストレーターとしても、選手としても支えられることが多く、本当にふたりに出会えてよかったなと思っています。
この3人の中で一番年下の私が先に引退することになってしまったのですが……今もなお、デモとしても選手としても第一線で活躍し続けているふたりを心からリスペクトしています。」

これまで全日本で4度の優勝を誇り、小柄ながらもスピード感にあふれたキレのある滑りが持ち味の栗山未来。第59回大会ではすべての大回り種目でラップを記録するなど、大回りに定評のある青木美和。それぞれ独自のスタイルでファンを魅了し続けてきた3人は、互いのSNSにもたびたび登場するほど仲が良く、競技を超えた強い絆で結ばれている。

配信元: STEEP

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