引き出しから出てきた紙
「私のメッセージ、読んでもらえてますか」
彼女は「後回しにしているわけじゃないんです」と答え、机の引き出しを開けました。中から出てきたのは、日付順に束ねられた紙です。
そこには、私が送った依頼の内容が印刷されていました。余白には確認項目が書き足され、作業を終えた箇所には赤い印がついています。
彼女は、チャットの通知メールに表示された本文を印刷し、紙で確認していました。通知メールを開いても、元のチャットには既読がつきません。以前、画面だけで確認して資料を取り違えかけたため、私の細かな依頼は必ず紙へ出していたそうです。
「先に言えばよかったです。ごめんなさい」
彼女は紙の束を持ったまま、頭を下げました。
そして...
理由を聞いても、それまでの不満がすぐになくなったわけではありません。一言説明があれば、未読の表示を見ながら、自分への態度を何度も考えずに済みました。
今は依頼を送ると、彼女から「確認します」と短い返信が届きます。そのあとで通知メールを印刷する方法は、以前と変わっていません。
引き出しの紙の束は、今も増えているそうです。ただ、その紙と同じ数だけ、私のチャットにも確認の返事が残るようになりました。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
