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次世代のmRNAワクチンは体内で「ウイルスに似た粒子」を作らせる

次世代のmRNAワクチンは体内で「ウイルスに似た粒子」を作らせる

次世代mRNAワクチン— 今後のパンデミック対策に新たな可能性

次世代mRNAワクチン— 今後のパンデミック対策に新たな可能性
次世代mRNAワクチン— 今後のパンデミック対策に新たな可能性 / Credit:Canva

今回の研究が一体何を明らかにしたのか、一言で振り返ってみましょう。

研究者たちが示したのは、「設計されたタンパク質粒子をmRNAで細胞に作らせることで、免疫を強める方法」が実際に可能だったということです。

これは単に「一つの新しいワクチン」を作ったという以上の意味があります。

まさに、次世代のワクチン開発の新たな土台となる技術になる可能性があるのです。

この技術の大きな強みは、ほかのさまざまなウイルスにも応用できる可能性があるという点にあります。

研究者たちはすでに、インフルエンザウイルスのように頻繁に姿を変えるウイルスにもこの方法が応用できる見通しを持っています。

実際、mRNAというのは、体内でタンパク質を作るための「設計図」です。

ウイルスの遺伝情報がわかれば、その設計図を素早く作り直すことができ、まるでスマホのアプリを更新するように、ワクチンを短期間で改良できる可能性があります。

このような柔軟な仕組みがあれば、未来のパンデミックに対しても、これまでより強力な備えができるでしょう。

しかし、気をつけなければならない点もいくつかあります。

第一に、この研究はあくまで「マウス」を対象としたものだということです。

マウスで良い結果が出たからといって、人間に対しても全く同じ効果が出るとは限りません。

しかしもし、この試みが人間でも上手くいけば、従来型のmRNAワクチンよりも遥かに強力な次世代型mRNAワクチンとなるでしょう。

研究を率いたグレース・ヘンドリックス博士は、「今回の新しいワクチン手法は、複数の最新技術の長所を組み合わせることで、より少ない量のmRNAでも十分に強い免疫反応を引き出せる可能性があります」と話しています。

また、ニール・キング博士も「このmRNAを使ったナノ粒子ワクチンは、将来の感染症対策にも柔軟に応用できる有望な技術です」と述べています。

今回の成果は、「体内で抗原の粒子を組み立てる」という新しいワクチンの仕組みを前臨床段階で初めて実証した重要なデータだといえます。

今後この技術が実用化されれば、私たちは変異の激しいウイルスに対しても、より強力で迅速な対応ができるようになるでしょう。

もちろん、未来が必ずそのように進むとは限りませんが、今回の研究はワクチン開発の未来に大きな希望の道筋を描いたと言えるでしょう。

元論文

Computationally designed mRNA-launched protein nanoparticle immunogens elicit protective antibody and T cell responses in mice
https://doi.org/10.1126/scitranslmed.adu2085

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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