「ボリューム不足」の指摘は妥当か? 過去作との比較で検証
一方で、「無料アップデートなら良かった」「ボリューム不足だった」という意見も見られる。これらの指摘は理解できる。
これまで任天堂は、安価な追加コンテンツを提供してきた。例えば、Wii UとSwitchで全3作リリースされた「スプラトゥーン」シリーズでは、追加ブキやステージが無料で提供された。有料追加コンテンツについても、Wii U「ニュースーパーマリオブラザーズ U」の「ニュースーパールイージ U」(2200円)は82コースを追加する内容だった。Switch「マリオカート8 デラックス」の「コース追加パス」(2500円)は48コースと4体の追加キャラを提供した。
それに比べ、本作『DKアイランド&エメラルドラッシュ』(2000円)は、ステージ追加としてはDKアイランドの1つに留まる。「ボリューム不足」と評価されてしまうのもよくわかる。
ただし、上記の過去タイトルの事例とは根本的に異なる側面がある。それはローグライトという本編とは異なる遊び方を導入し、本編ステージで再遊可能という点だ。ローグライトと言えば、Switch「スプラトゥーン3」の有料追加コンテンツ「エキスパンション・パス」(3000円)内の「サイド・オーダー」にも近い。
本編の爽快なアクションを維持しつつ、新ルールで作品の魅力を再発見することができる。これは有料購入の価値を十分に持つ。『ドンキーコング バナンザ』は、本作を加えることで初めて完成形となるのだ。
それでも、購入を躊躇するプレイヤーの心情は理解できる。本編未クリアのユーザーにとっては、そもそもアクセスすらできない。ただそうしたユーザーは、例えば無料の体験版などを提供したところで、最初から遊ばない可能性も高い気がする。
本作は有償ながら、本編をやり込みたいコアなユーザーへ向けての、言わば“ご褒美コンテンツ”とも言える。が、単なるオマケと侮らないでほしい。同一ステージながらルールが一変し、180度異なる風景が楽しめる本作。本編では無理に取得する必要がなかったアイテムも、ここでは意味を持ってくる。そういう意味で『DKアイランド&エメラルドラッシュ』は、『ドンキーコング バナンザ』というコース料理を余すところなく味わうための不可欠なスパイスなのだ。ぜひ堪能してほしい。
※本文記載の価格はすべて税込み
(文:平原学)
