曹操軍100万人を撃退した孔明の天才軍師ぶり
TVドラマ化、映画化もされた『パリピ孔明』でもおなじみの孔明は、「三顧の礼」を経て、劉備軍に加わります。まだ領地を持たない、弱小勢力に過ぎない劉備軍は、宿敵・曹操と戦うために「呉」の孫権と同盟を結びます。諸説ありますが、劉備と孫権の連合軍が5万人だったのに対し、曹操軍は80万人とも100万人とも伝えられています。
絶対的に不利な状況下で、孔明の天才ぶりが発揮されます。ひと晩で10万本の矢を用意し、天候の変化を読み、さらには味方の関羽がかつて曹操の世話になった過去も知った上で、完璧な布陣をみせるのです。孔明の辞書に「不可能」という文字はないかのように、劇的な大勝利を連合軍にもたらすのでした。
曹操軍を撃退した劉備は、孔明の勧めで中国の内陸部を支配下に置き、「蜀」の国を興すことになります。長らく流浪の生活を送った劉備が「蜀」の国王に就いたのは、50歳を過ぎてからです。かなりの遅咲きだったことが分かります。
実生活で役立てたい「天下三分の計」
孔明が劉備に提言した数々のアイデアのなかでも、もっとも有名なのが「天下三分の計」でしょう。劉備と出会って間もない孔明は、まだ領土を持っていなかった劉備にいきなり中国全土を統一するのは無理なので、「魏」と「呉」が争っている間に勢力を伸ばすよう進言したのです。
この「天下三分の計」は、現代の日本でもよく見られる光景です。政界で言えば、与党と野党が対立している間に、新党が「第三極」として勢力を伸ばしています。「天下三分の計」の亜流と言えそうです。
また、「天下三分の計」は日常生活でも役立ちます。誰しも悩みごとをいろいろと抱えているものですが、悩みごとをまとめて考えると頭のなかがパニック状態に陥ります。でも、「天下三分の計」にならって、悩みごとを悩みの原因別に分けて考え、小分けにするのです。三分割でなくても、十分割でも二十分割でもかまいません。
いちばん小さな悩みごとをまず片付けてしまうと、自信が湧いてきて、次の課題に取り組んでみようという気になってくるものです。心にのなかに自分だけの孔明を持っていれば、だいたいの悩みごとは解決したような気になるものです。「いつも心に孔明を」です。
歴史や国語の勉強にもなり、日常生活にも応用できる『三国志』。ぜひ、一度読んでみてください。
