2024年新庄ファイターズ躍進の理由
先発にイニングを求めない風潮に、敢然と立ち向かっているのが北海道日本ハムファイターズ監督の新庄剛志だ。
監督就任以来、2年連続最下位。本人は「3年目に優勝」と、2024年シーズンの躍進を豪語していた。北海道のローカル放送の解説者であれば、おべっか込みで躍進を予想したかもしれないが、他の解説者は良くても最下位脱出くらいだろうと、まともに取り合わなかった。
私もそのひとりだった。しかしシーズンが深まるにつれて、総合的な強さを見せるようになり、優勝したソフトバンクに大差はつけられたものの2位になった。
なぜ日本ハムの躍進を見抜けなかったのか、何を見落としていたのかと振り返ると、確かに兆しがあった。それは2023年のチーム完投数だ。加藤貴之と伊藤大海が3、上沢直之が2で合計8。
投球回数も、上沢が170回でリーグ1位、加藤が163.1回でリーグ3位、伊藤が153.1回でリーグ7位だった。
6チームあるのに、投球回上位7人に日本ハムの投手が3人入っているというのはかなり顕著な特色だ。力のある三本柱にエースの座を競わせるように長い回を投げさせていた。
躍進した2024年はどうかというと、さらにその傾向は続き、伊藤はリーグ3位の176.1回を投げ、リーグ1位の完投5。加藤はリーグ6位の166.2回を投げて完投3と、それぞれイニングを伸ばした。上沢の代わりに補強した山﨑福也は147.2回(リーグ9位)を投げ、完投は2。どちらもキャリアハイだ。
バッテリーコーチを務める山田勝彦に聞くと、「できればずっと投げさせたい人」と新庄監督の先発投手の使い方を評した。
先発完投型の柱を三本立てる。チャラチャラしたイメージのある新庄だが、ことチームづくりに関しては、ディフェンスの要諦をしっかり押さえている。本稿を制作しているのはシーズン中だが、今年もダントツの完投数。触発されて他球団も増えている。
ベンチには年寄りを入れなさい
江本 孟紀
2025/8/221,045円(税込)192ページISBN: 978-4847067181日本のプロ野球、本当にこのままでいいのか!?
・選手の「幼稚化」「無個性化」
・「オヤジ的監督」の減少
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など、何かと時代に流され気味な日本の野球界に、球界のご意見番・エモやんが待ったをかける!
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