かつてバラエティー番組「関口宏の東京フレンドパークⅡ」の大当たり景品として登場した、三菱パジェロ。その名前を聞くだけで、あのダーツの歓声を思い出す人は多いだろう。その象徴的なクルマが、いよいよ復活するのだ。
新型パジェロはタイ工場で生産され、日本へは逆輸入される見通しだ。現地で販売中の「パジェロスポーツ」の次期型をベースに開発されているという説もあり、プラットフォームにはピックアップトラック「トライトン」のラダーフレームが流用される可能性が高い。堅牢なフレーム構造にキャノピーを被せた3列SUVとなるのが自然な流れだろう。
パジェロは単なるオフロード車ではなく、日本のモータリゼーションを象徴する存在だ。1982年5月に誕生した初代モデルは、高い悪路走破性と乗用車の快適性を両立させ、新しい4WD文化を切り開いた。1983年から挑戦したパリ・ダカール・ラリーでは、1985年に日本車として初の総合優勝を飾る。その後、26回参戦して通算12回の総合優勝を誇る。砂漠の王者の名は、この戦績に裏打ちされている。
国内では1991年の2代目がRVブームを牽引し、月間販売1位を記録。1999年の3代目ではフレーム構造を刷新し、2006年の4代目でクリーンディーゼルを採用するなど、進化を重ねた。だが、時代が都会派SUVを求めるようになり、2019年に一度、その歴史を閉じている。
それでもブランドの火は消えなかった。2023年には初代モデルが日本自動車殿堂の「歴史遺産車」に選ばれ、再評価の機運が高まった。そして2025年、再びその名が脚光を浴びている。
販売店では、パジェロにまつわる問い合わせが増えているという。かつてのオーナーはもちろん、当時を知らない若い世代からも「いつ出るのか」「どんな仕様になるのか」と関心が寄せられている。
もし本格復活が実現すれば、ターゲットは明確だ。トヨタ・ランドクルーザーという不動のライバルに、真っ向から挑む存在になる。かつての名車が現代のSUV市場でどう生まれ変わるのか。その姿はまもなく明らかになる。
(ケン高田)

