今回は「バカセンス」でいこうかなと
──現時点で、新作コントはどんなものになりそうですか?
松本 長いコントはすでに1本できてます。『Y曲』っていうタイトルは“歪曲”という言葉から来てるもので、ものが歪むとか、事実とか情報が異なって伝わるとか、そういう意味があるんですけど、刺身くんが出してくれたものなんです。僕ら、『ABCお笑いグランプリ』決勝に行ったときのキャッチコピーが“歪んだ空間へようこそ”で。
市川 それ、めっちゃ覚えてます。
松本 あ、覚えてたんだ?
市川 うん、そこは大事にしたいと思ってたから。
松本 だから、今回の単独も歪んだ日常みたいなことを意識してコントを作ろうかなと思っています。

市川 いままでの単独ライブは、なんとなくテーマを統一してるくらいでしたけど、今回は切り替えて新たにやるということで、“バカセンス”でいこうかなと。まぁ、僕らのヨシモト∞ホール(現・渋谷よしもと漫才劇場)時代のキャッチフレーズは“ひょうきんコント師”でしたけどね。ナメられたもんですよ! けど、今回はセンス! バカセンスです!
松本 いいテーマだと思います。
市川 だから竹馬が“Y曲(歪曲)”というテーマでコントを作ったってところも意識して見てもらえたら、より楽しんでいただけるのかなと。それに、5分ネタがすべてじゃないですからね。お笑いとして面白いかたちはたくさんあるんで、いろいろなコントに挑戦していきたいですね。
松本 だから、今回は『KOC』のことは考えずにネタを作ってみようかなとも思ってます。
──すでに長編コントが1本できあがっているとのことですが、テーマを決めてすぐにアイデアは浮かんだんですか?
松本 そうですね。その1本は、わりとすぐこんな感じかっていうのは出てきましたね。
市川 何パターンか考えているくらいのときに聞かせてもらって、そこから数日で仕上げてましたけど、面白かったです。5分でネタしようと思っていたら、やらないだろうなというものだったので、すげぇなと思いましたね。
松本 だから、ネタ時間にはこだわらず。
市川 短くてもいいしね? 長いものばかりっていうわけでもないです。

メトロンズ・中村元樹が演出で参加
──また、新しい試みとして構成作家の中村元樹さんが参加されるそうですね。
松本 僕、メトロンズ(しずる、ライス、サルゴリラ、中村による演劇ユニット)がめっちゃ好きで、ほぼ毎公演、観に行っているんです。GAGさんとかも単独に演出家の方を入れていると聞いて、演出で入ってくれる方を探していて。メトロンズは60分のコントのような演劇を作っているので、お願いしたいなと思ったんです。
市川 めっちゃいいですよね。
松本 中村さんと具体的なことはまだ何も話せてないですけど、演出面をお願いしたいなと。台本も見てもらいたいんですけど、僕、見せ方がよくわからないというか。動きとか照明の使い方、音楽の入れ方に関しては、わからないことばかりなので、いろいろと学びたいですね。自分にももちろん演出をつけてほしい。刺身くんは言いづらいところもあると思うので。
市川 僕なんて、「右手のほうがいいんじゃない?」くらいしか言えないですからね(笑)。あと、音響や照明、舞台監督も今回は近しい人が多いですし、いつも一緒にやってくれてる作家さんもいれば、マネージャーも密にやってくれていて。
松本 新しいマネージャーさんがいろいろとやってくれる人で、この単独のためにSNSのアカウントも作ってくれてね?
市川 4年前よりも安心感をもってやれそうです。

──今年4月に結成10周年を迎えましたが、この10年を振り返って思うことは?
市川 2021年に『KOC』決勝に行って、いままでに『ABCお笑いグランプリ』の決勝も2回(2019年、2020年)行ってますからね。『おもしろ荘』(日本テレビ系)も出てるし、いいと思います。
松本 そうですね。『KOC』決勝に行った4年前と比べると勢いは落ちてる気はしますけど、そのときよりもネタを考える力は上がっていると思うんです。僕らは『ABCお笑いグランプリ』の決勝に初めて行ったり、『KOC』準々決勝に初めて行ったりした2019年がスタートな気がしていて。そこをピークにしちゃいけないんで、超えていきたいなと思っています。
市川 昔の自分たちの映像とか観ると、そこから進んでいるなと思いますから。あと、上の先輩……しずるさんとかも変化しながら成熟しているので、僕らももっと面白くなるだろうし、幅が出るんだろうなとワクワクしています。今後もこういったライブを続けてやっていきたいので、今回、頑張りたいんです。だから、たくさんの方に観に来てもらいたいですね。
──では、FANYマガジンの読者に意気込みをお願いします。
松本 (前のめりになって落ち着いた声色で)来てください。お願いします!
市川 (さらに小さな声で)本当に来てください!