ドジャースのポストシーズンでの快進撃が、ヤクルト・村上宗隆の球団選びに微妙な影を落とすことになってきた。山本由伸、ブレイク・スネルらの快投で2年連続のワールドシリーズ制覇に驀進するドジャースだが、ここにきて他球団から不公平を訴える声が日増しに高まっている。
メジャーリーグを取材するスポーツライターが、現状を伝えるには、
「シーズン終盤はブルペン陣が不調で地区優勝が危なかったわけですが、ポストシーズンに入り、スネル、山本、タイラー・グラスノー、大谷翔平の先発4本柱が好調で、勝ち星を積み重ねている。高額の投資がここにきて奏功しており、他球団からは『資金が豊富な球団が結局は強いのか』と、やっかみの声が大きくなっていますね。ドジャースは今オフも、贅沢税を払ってでも大型補強をする方針を固めており、来季、戦力格差はさらに広がるかもしれない。金で優勝が買える、という風潮が強まるかもしれません」
今季はメジャー1位の総年俸を誇るメッツがポストシーズンに進めず、逆にスモールマーケットのブリュワーズが地区優勝し、レッズがドジャースとワイルドカード・シリーズを戦ってはいるが、相対的には年俸総額の高いチームが順調にポストシーズンに進出している。
「2位のドジャースをはじめ、フィリーズ、ヤンキース、ブルージェイズ、ブレーブス、パドレスは年俸総額10位以内に入っている。一方、30球団で最下位マーリンズの年俸総額は、実質105億円の大谷ひとりに及ばない。そんな状況でもあり、球団間の格差是正に向け、サラリーキャップ制の導入が叫ばれています」(前出・スポーツライター)
サラリーキャップとは毎年、リーグ全体の収入に基づいて年俸の上限金額を調整する制度で、2026年に失効する現行の労使協定の改定に向け、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが球団オーナーと協力して、導入の可能性を探っている。
これに選手会は「年俸の上限を設けることは選手の価値を下げることになる」と反発。コミッショナーとオーナー側が強行すれば、ストライキも予想される。仮にストライキとなれば、時期や期間によっては村上の移籍がペンディングになるだろう。そして選手会側がサラリーキャップの導入を受け入れれば、村上の移籍先に影響が出てくる。
「村上を欲しいとされるドジャースやヤンキース、メッツなどはサラリーキャップ制になれば、出したくとも高額な年俸を出せないことになる。お手頃価格を提示するしかなくなります。仮にメジャーリーグ球団に入ってサラリーキャップ制が導入されれば、その後に活躍しても、高額年俸は難しくなるでしょうね」(スポーツ紙メジャーリーグ担当記者)
1年メジャーに行くのが遅れることで、村上の「損害」が計り知れなくなる可能性が出てきた。とんだとトバッチリだ。
(阿部勝彦)

