現地時間10月17日(日本時間18日、日付は以下同)、シカゴ・ブルズはソーシャルメディアで「我々はユウキ・カワムラとの契約を解除しました。ありがとう、そしてユウキの幸運を祈っています」と発表し、2WAY契約の河村勇輝との契約を解除したことを発表した。
昨季メンフィス・グリズリーズでNBAデビューを飾った24歳の日本代表ガードは、今夏ブルズの一員としてサマーリーグへ出場。5試合の出場で平均23.9分、9.6点、2.4リバウンド、6.6アシスト、2.2スティールをマークし、7月19日に2WAY契約を締結した。
トレーニングキャンプを経て、プレシーズンゲームでは最初の2戦に出場し、限られた場面とはいえ平均10.8分で3.0点、4.0リバウンド、4.0アシストを記録。現役で最も低身長の5フィート8インチ(173㎝/17日には170㎝と表記変更)ながら、コートを見渡してチームメイトのイージーショットを何度もお膳立てし、昨季のメンフィスと同様にシカゴでもファンの心を掴んだ。
ところが、プレシーズンゲーム最後の3戦は右足下部を痛めたことで欠場。プレシーズン初戦でも右足のヒザ下にサポーターをつけてプレーしており、そのケガが悪化したと見られている。
地元メディア『Chicago Sports Network』でブルズの番記者を務めるKC・ジョンソンは、ブルズの広報が河村は右下腿の痛みによる医療上の理由で解雇されたことを明らかにしたと報じている。
そのケガがふくらはぎなのか、あるいはアキレス腱なのかは公表されていないものの、いずれにせよ痛めると復帰まで長引く箇所であり、スピードやクイックネスを武器にプレーするガードのプレーへ大きく響くことに。
ブルズは16日のミネソタ・ティンバーウルブズ戦に勝利し、プレシーズン5戦を3勝2敗でフィニッシュ。22日にホームのユナイテッド・センターで迎えるデトロイト・ピストンズ戦で、レギュラーシーズンが幕を開ける。
そのチームにおいて、得点源コビー・ホワイトがふくらはぎ負傷のためプレシーズンゲームを全休。コート上で軽いランニングやシューティングこそできているが、コンタクトありの練習ができていないため、現時点で開幕戦の出場が微妙だ。
そうしたなか、ブルズは17日に河村をウェイブ(保有権放棄)し、フォワードのトレンティン・フラワーズと2WAY契約を締結。さらにオールスターのスラムダンク・コンテストで3連覇したマック・マクラングと契約、そのわずか3時間後にウェイブし、Gリーグ(ウィンディシティ・ブルズ)要員を確保した。
現在、NBAの全30チームは20日の開幕ロスター発表、翌21日のレギュラーシーズン開幕初日に向けて契約選手たちを選定中。毎日のように各チームが契約解除を発表するなど、目まぐるしいほどロスターが変わっている。
NBAのチームは本契約15名、2WAY契約3名を抱えることができ、約6か月間にも及ぶ長丁場のレギュラーシーズンを戦っていく。日本のエースガードが開幕直前に契約解除されてしまったのは、身長や実力といった要因よりも、ケガの影響が大きいと言わざるを得ない。
昨季NBAではウエスタン・カンファレンスではオクラホマシティ・サンダー、イースタン・カンファレンスはインディアナ・ペイサーズがファイナルへ進出し、サンダーが最終第7戦の末に4勝3敗でペイサーズを下して優勝。
その2チームがレギュラーシーズンだけでなくプレーオフでも8~10人をローテーションに入れて戦い抜いたことで、フレッシュな足を駆使したプレッシャーディフェンスを敷くことがトレンドになりつつある。
そのため、実力や経験があってもケガでプレーできない選手が契約解除されるケースは河村だけではない。
例えば、ペイサーズは司令塔タイリース・ハリバートンがアキレス腱断裂で今季全休、控えガードのTJ・マッコネルもハムストリング負傷のため開幕出遅れが決定。バックコートの層を厚くすべく、9月23日にモンテ・モリスと契約合意と報じられたが、ふくらはぎを負傷しているため契約見送りに。その後デロン・ライトと契約を結ぶも、プレシーズンゲームで負傷したことで契約解除となり、今月9日にキャメロン・ペインと契約している。
契約解除のタイミングを考えると、河村が痛めている右足のケガは、開幕戦どころかその後も欠場を余儀なくされる状態まで悪化していたことも考えられる。NBA挑戦2年目を目前に控えていただけに、誰よりも河村自身が悔しかったに違いない。
ブルズからの発表に、ソーシャルメディアでは「すごく混乱している。彼はいいプレーをしていた。どうしてだ?」「なんてこった!家族を連れて彼のプレーを見るのを本当に楽しみにしていたのに…」など、河村との決別を惜しむ声がいくつも挙がっていた。
河村がコート上で魅せた華麗なパス捌きは、ファンやメディア、チームメイトたちをも魅了していたことは事実。今はNBA定着を目指す挑戦の途中だけに、まずはケガを完治させて健康体を取り戻してほしい限りだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
【画像】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!

