最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
『Ghost of Yōtei』レビュー:「PlayStation5を持っててよかった!」と思える傑作オープンワールド時代劇ゲーム

『Ghost of Yōtei』レビュー:「PlayStation5を持っててよかった!」と思える傑作オープンワールド時代劇ゲーム

自由度の高さが生む自然な感情移入

ビジュアルの次に目の行く前作超えポイントが、自由度の高さ。前作もオープンワールドゲームとしての自由度の高さはかなりのレベルに達していた。しかし、蒙古兵の襲撃から、主人公が単身での戦闘を決意するに至るまでの背景を描く前作冒頭部分は、ほぼ展開が一本道。

これに対し本作は、冒頭のかなり早い段階からオープンワールド的な自由度が解放される。

と言っても本作が、背景となる物語表現を放棄しているわけではない。篤が復讐を決意するに至った経緯は過去の回想として描く形にすることで、自由度とストーリー表現を両立させたのだ。

具体的に言うと、プレイヤーは自由に行動することができ、訪れた先でその場所にちなんだ過去の回想が再生されるというかたち。別作品ではあるが、オープンワールドゲームの傑作である「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」で採用されていた手法が、効果的に用いられている。

また、バトルシーンにおいても自由度はアップしている。前作では、主人公のメイン武器が刀のみで、敵の戦い方に応じて「型」を変えるというシステムだった。これに対し今作では、刀以外に二刀、槍など様々な武器を戦闘中でも自由に変更することができる。

言ってみれば「型」の代わりに武器の種類があるわけだが、立ち回りが大きく変化するので、バトルの自由度が高く感じられた。

探索、バトルの両面で自由度がアップした結果、篤は序盤から極力プレイヤーの意志に従って動く。このため、本作はより自然に主人公へ感情移入できるのだ。

圧倒的臨場感! 時代劇の世界に没入

ビジュアルの美しさや自由度の高さによって本作は、自分が時代劇の世界に入りこんだかのような、圧倒的な没入感を実現している。しかも前作に引き続き、けれん味ともいうべき時代劇特有の演出をこれでもかと盛り込んでいる。

本作が持つ時代劇特有の演出のひとつが、プレイヤーを目的地へと誘う「風」の演出だろう。地図上で目的地と設定したポイントへ「風」が吹くことで、移動すべき方向をガイドしてくれる。前作にもあったが、本作でも踏襲している演出だ。

次に、本作の時代設定も「時代劇感」を高めている。というのも、日本の時代劇は、江戸時代を舞台とすることが多い。

そして本作の舞台は、江戸周辺でこそないものの、時代は江戸時代。このため、鎌倉時代を舞台にしていた前作よりも、空気感が時代劇に近いと感じた。

時代劇といっても様々な作品が存在しているが、本作から強く感じるのは「木枯し紋次郎」や「子連れ狼」といった流浪人を主人公とした時代劇だ。さまざまな場所を訪れ、その場所にちなんだトラブルを解決して去っていく……という流浪ものの構造と、オープンワールドゲームである本作の構造が非常にマッチしている。そうした中で見逃せないのが、「賞金首」の存在だろう。

「賞金首」はサブクエスト的な要素で、「賞金首」打倒の依頼を受注し、見事倒せば報酬が獲得できるというもの。メインクエストではないので、必ずプレイしなければならない要素ではない。

だが、筆者が本作の中でぜひオススメしたい要素だ。というのも、各「賞金首」のキャラクター性が極めて深く設定されており、「賞金首」クエスト1つ1つが、短編時代劇のような楽しさを持っているからである。

たとえば賞金首の一人「鴉の源蔵」は、殺した相手の目をカラスについばませるという、凶悪な相手。実際「鴉の源蔵」のいる周辺にはカラスが多く、設定だけでなく演出的にもその異常さが表現される。

こうした設定や演出が組み込まれているのは、「鴉の源蔵」だけではない。賞金首一人一人の設定や演出が丁寧に作られ、キャラクターが立っている。だからこそ、短編時代劇のような楽しさが味わえるのだ。

個人的には、本作が「賞金首」を追いまくるゲームだったとしてもいいとまで思っている。しかし、メインシナリオで復讐の対象となる「羊蹄六人衆」は「賞金首」以上に魅力的。

刀の達人である「蛇」、大太刀使いである「鬼」、忍びであり謀りごとに長けた「狐」、鉄砲に精通した「龍」と「蜘蛛」。そして「羊蹄六人衆」の頭である斎藤は、あらゆる武器に精通した強さを持ちながら、侍たちを束ねるだけの人間的魅力も持ち合わせている。

設定的にもビジュアル的にもカッコいい。ただ、こんな風に立ちまくったキャラクターが、いかにもゲーム的、あるいはアメコミ的と感じる人もいるかもしれない。しかし、個人的にはむしろ「魔界転生」や「甲賀忍法帖」といった山田風太郎作品のエッセンスを感じた。

ここまで触れてきた通り、本作は前作以上に「魅力的な時代劇」のエッセンスを採り込み、それを美麗ビジュアルと高い自由度で表現している。だからこそ、自然と没入してしまうのだ。

配信元: ガジェット通信

あなたにおすすめ