子供の吃音症は矯正できるか?「モンスター・スタディ」
1939年、アメリカの心理学者ウェンデル・ジョンソンは、吃音症の原因を理解するべく、アイオワ州ダベンポートの児童養護施設である実験を行いました。
彼は22名の孤児をつれてきて、「発話障害のための治療」と称した実験を始めます。
まず、孤児を2つのグループに分け、それぞれの半分には初期の吃音症をもつ子供が含まれました。
そしてジョンソンは、片方のグループにポジティブな教育(「吃音症は治るから心配しないように」など)を、もう片方にネガティブな教育(「正しく喋れないうちは人前で話すな」など)をしました。
教育によって吃音症が治るかどうかを調べようとしたのです。

しかし、どちらのグループにも良い結果はありませんでした。
むしろ、ネガティブな教育を受けた子供たちは、内気になったり短気になったりと性格形成の上でもダメージを受けました。
しかも、最初は発話に問題のなかった子供にまで吃音症が現れはじめたのです。
ジョンソンの実験は、生涯にわたる深い傷を子供たちに残しました。
誰の心にも看守は潜む、「スタンフォードの監獄実験」
1971年8月14日から20日にかけ、スタンフォード大学の心理学者フィリップ・ジンバルドーは、刑務所を舞台にした実験を行いました。
いたって普通の人が特殊な地位を与えられると、その役柄に合わせて行動や性格が変質することを証明した実験です。
そのため、先ほど紹介したミルグラム実験の監獄バージョンと称されます。
新聞広告で募った健康な被験者21人を、看守役11人、囚人役10人にグループ分けします。
リアリティを求めるため、囚人役は実際にパトカーで逮捕され、看守役の前で服を脱がされ、シラミ駆除剤を散布されました。
刑務所は本物と同じ設備を用意し、その中で囚人と看守はそれぞれの役割を演じます。
その結果、時間が経つにつれて、看守役はより看守らしく、囚人はより囚人らしい行動に変化していったのです。
看守役は、囚人に素手でのトイレ掃除を命じたり、禁止されていた暴力を振るうまで激化しました。
しかし、ジンバルドー自身もそのリアリティに呑まれ、実験を続行。
関係者が事態の危険性に気づき、弁護士などをつれて強制的に中止されました。
そのとき、看守役の被験者たちは「約束が違う」と続行を希望したといいます。

