
バロンドールを逃しても“主役”だったヤマル。エゴがこれ以上肥大化するのを防ぐため、受賞を望まない者はクラブ内にも存在したが…【現地発】
ラミネ・ヤマルは、世界最高の選手として認められるためにバロンドールを必要としていたわけではない。弱冠18歳でバルセロナという特権的なクラブでプレーしながら、最大のインパクトを与え、デジタル化と巨大産業化が加速する現代サッカーを誰よりも体現している。
昨年、戴冠することなく王座を追われたヴィニシウス・ジュニオールにとってバロンドールは名誉を懸けた戦いだった。一方、来年以降も最有力候補の1人に挙げられるヤマルの目はすでにウスマンヌ・デンベレよりもキリアン・エムバペとの競争を見据えている。
デンベレは、2025年の最強チームであるパリ・サンジェルマンでの素晴らしいシーズンに相応しい、正当かつ一時的な勝者だった。フランスにとっても、バロンドールを主催する『フランス・フットボール』誌にとっても母国選手の突然の聖人化は好都合だった。個人を称える際にディテールは不可欠な要素だからだ。
でなければ、ヴィティーニャやペドリ、あるいはかつてのアンドレス・イニエスタやシャビといったチームプレイヤーが受賞できなかったことの説明がつかない。FWは常にMFよりも目立ち、天性のスター性を纏うヤマルは常に考慮に入れなければならない。
ヤマルのエゴがこれ以上肥大化するのを防ぐため、シャトレ劇場で勝利することを望まなかった者は周辺の関係者の中にもクラブ内にも存在した。しかし、18歳の野望に際限がない。ワールドカップ、EURO、バロンドールと今後取れるタイトル、トロフィーを全て取りたいと考えており、授賞式の厳かな雰囲気もオスカー(アカデミー賞)のように勝者が誰になるか分からないサスペンス性も彼にとってはエンターテイメントの要素に過ぎない。
その自信に満ちた態度から疑いの目を向けられることもあるが、下馬評を覆す予想外の結末を引き起こす天才として、デンベレの優勢が伝えられる中でも勝利できると信じさせることのできる選手は、ヤマルをおいて他にいなかった。
ヤマルは後で人々が何を言うかを気にするのではなく、自分が引き起こすコメントを楽しんでいる。スポットライトを浴びることに熱心で、王冠を置くようなゴールセレブレーションなど自分がナンバーワンだと知らしめるために、ジェスチャーにもこだわりを見せる。
ピッチの内外を問わず、どの選手よりもサッカーの祭典を生き生きと楽しんでいる。それはまるで究極のエンターテイナーだったネイマールの価値を訴えているかのようでもある。幼少の頃、ブラジル人アタッカーをアイドルに選んだのは偶然ではない。
裏切り移籍の被害にあったバルサのファンにとっては挑発的に見えるかもしれないが、ヤマルは10番を背負いながら、リオネル・メッシのように勝ち、ネイマールのようにプレーしたいと考えている。
3年連続で女子バロンドールを受賞したアイタナ・ボンマティなど、今年も様々な選手が注目を集めたが、誰一人として15人の友人と家族に囲まれたヤマルを凌駕する者はいなかった。
セレモニーの主役は、(メッシが頭角を現す前のバルサの象徴だった)ロナウジーニョが発表する勝者の名前にかかわらず、その場が自分にとってそれだけの価値があるものであることを確信していた。デンベレが、バルサが補強で迷走を続けた時代の産物であるなら、ヤマルはラ・マシアから出てきたランプをこする天才だ。
文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸
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