アルビレックス新潟のJ2降格が決定的となった。
10月18日の第34節、最下位の新潟はアウェーの東京ヴェルディ戦に乗り込んだ。残留するためには勝つしかない新潟だったが、ヴェルディに先制され、苦しい展開となった。後半に入って攻撃的な選手を次から次に投入して決定機を作ったが決めきれず、試合はそのままヴェルディが1-0で逃げ切った。
この結果、新潟は残り4試合で勝ち点22のまま変わらず、残留圏の17位・横浜F・マリノスが浦和レッズに4-0で快勝し、勝ち点を34に伸ばしたため、新潟が残り4試合を全勝してマリノスが全敗すれば、勝ち点で並ぶ。しかし、得失点差でマリノス-8、新潟-26と大きな差があるため、残留の可能性はほぼなくなった。
大きな親会社を持たず、年間予算はJ1で16番目と言われている。そんな小規模のクラブがJ1とJ2を行ったり来たりするのは、宿命なのかもしれない。2024年のJクラブの売上高ランキングでは、80億円以上が4クラブあり、1位の浦和は100億円を超える。16位の新潟はその半分以下の約40億円。とてもJ1に定着するのは難しい。
これはどういうことかといえば、新潟はいい選手を獲るチームではなく、獲られるチーム。例えば2連覇中のヴィッセル神戸は大迫勇也、武藤嘉紀、酒井高徳ら、欧州でプレーしていた代表経験者を次から次に補強してチームの中心に置き、強化してきた。
一方の新潟の過去を振り返ると、エジミウソン、マルシオ・リシャルデス、レオ・シルバ、ラファエル・シルバ、レオナルドなど、レベルの高いブラジル人はみんな獲られていった。最近ではアルベルト・プッチ・オルトネダ、松橋力蔵と、監督まで持っていかれている。
2年前にJ1に昇格し、徹底したポゼッションサッカーでリーグに旋風を巻き起こした。昨季はルヴァンカップで決勝に進出して、PK戦の末に名古屋グランパスに敗れたものの、全国に新潟のサッカーをアピールできた。
期待された今季は松橋監督が退任し、FC東京の監督に就任。水戸ホーリーホック(J2)のコーチだった樹森大介監督体制となった。ところがGK小島亨介が柏レイソルへ、ルヴァンカップ得点王の長倉幹樹が浦和に、オーストラリア代表のDFトーマス・デンもマリノスなど、主力選手がチームを離れた。
序盤から結果が出ず、6月末に入江徹コーチが監督に就任。ところが今夏、2人の選手が欧州に移籍し、昨季のルヴァンカップで活躍した小見洋太が柏に移籍するなど、再び主力が去った。シーズン中に先発が半分入れ替わり、入江監督はつぎはぎだらけのチームをなんとか形にしようとしたが、結果は出なかった。プロである以上、条件の良いチームに移籍するのは当たり前。それを引き留めるだけの資金が、新潟にはなかったということだ。
ただ、9月20日の「裏天王山」と呼ばれた横浜FC戦に0-1で敗れた試合後、ゴール裏でサポーターと選手の話し合いが行われた。必死に叫ぶサポーターの訴えに、選手たちは「みんなで聞こう」とサポーターのそばに集まる。そこでサポーターが言ったことは「アルビレックスは新潟の街の中心なんだよ、希望なんだよ、未来なんだよ。だから負けちゃいけないんだよ」という言葉。選手の前でこれだけ熱くなれるサポーターがいれば、たとえ降格しても、再びJ1に戻ってくるだろう。
土台であるポゼッションサッカーを変える必要はない。そこに個の力やアイディアをどう絡めていくか。そして日々、進化する世界のサッカーの戦術を生かしていけるか。近い将来、進化した新潟のサッカーがまたJ1で輝く日が来ることを期待したい。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

