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アートが人をつなぐ 「脳が脱皮する美術館」が描く“まぜこぜ”の未来

アートが生み出す共創と広がり

シブヤフォントの活動がユニークなのは、障がいのある人、学生、デザイナー、そして企業や自治体といった、立場の異なる人たちが一緒に関わっている点です。誰かの特別なスキルや立場に依存せず、それぞれの個性が自然に混ざり合う“まぜこぜ”の関係性が、活動の基盤になっています。

「脳が脱皮する美術館」もまた、その考え方を体現するプログラムです。アートを媒介に対話が生まれ、世代や立場を超えて人が理解し合う。そこでは、正しさよりも“違いの面白さ”が尊重されます。たとえば障がいのある人の描く自由な線や色が、企業のデザインや教材に使われることもあり、誰かの表現が別の誰かの学びや気づきにつながるという循環が生まれています。

このように「福祉」「教育」「デザイン」といった枠を軽やかに越えていくのが、シブヤフォントの特徴です。障がい者支援事業所と学生が一緒にフォントを作る活動から始まり、地域や企業へと輪が広がる。そこには“助ける・助けられる”ではなく、“一緒につくる”という関係が息づいています。

こうした取り組みは、2024年度グッドデザイン賞にも選ばれました。デザインという枠を超え、福祉・教育・地域の共創をつなぐ社会的なデザインとして評価を受けています。アートが人の距離を近づける力を、シブヤフォントは具体的な形で示しています。“まぜこぜ”の輪は、渋谷から少しずつ広がり続けています。

アートがつなぐ新しい関係性

アートをきっかけに人が語り合い、互いを理解し合う。
その時間は、単なる鑑賞ではなく、人と人が向き合う“対話の場”へと変わっていきます。

シブヤフォントが目指しているのは、特別な誰かだけが輝く世界ではなく、さまざまな人が自然に混ざり合いながら共に生きる社会です。アートを介して生まれる小さな会話や気づきが、誰かの心をやわらかくし、周囲の空気を少しだけ変えていく。

「まぜこぜ」が心地よい社会へ──。
その未来をデザインする力が、アートにはあるのかもしれません。

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