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『便秘は食物繊維でOK』ではなかった:最新分析で「効く食品」を精査

『便秘は食物繊維でOK』ではなかった:最新分析で「効く食品」を精査

まとめ:便秘対策は『繊維だけ』の時代から『選ぶ時代』へ

まとめ:便秘対策は『繊維だけ』の時代から『選ぶ時代』へ
まとめ:便秘対策は『繊維だけ』の時代から『選ぶ時代』へ / Credit:Canva

ここまで、いろんな食品やサプリメントが便秘に効くか効かないかを、科学の視点で詳しく見てきました。

その結果、ちょっと意外だったことが一つ明らかになりました。

これまで当たり前のように言われてきた「便秘にはとりあえず食物繊維!」という常識が、実はかなり怪しいことがわかったのです。

繊維さえ摂っておけば便秘はスルスル解消する──そんな漠然とした期待が、実はちゃんとした科学的な裏付けなしに広まってしまったというのが正直なところでした。

このことは、毎日のように食物繊維を頑張って摂っても便秘が治らないと悩んでいる多くの人にとって、「やっぱりそうだったか!」と思わせる納得の結果だったかもしれません。

今回の研究を率いた、イギリスの名門キングス・カレッジ・ロンドンのエイリニ・ディミディ博士も、この点についてははっきりと指摘しています。

博士の言葉を借りれば、「食物繊維は確かに健康全般には良いのですが、便秘の改善という一点に絞ると、科学的に十分な証拠があるとは言えません。むしろキウイフルーツやオオバコ繊維(サイリウム)、硬水(ミネラル豊富な水)など、もっと明確な証拠がある食品や飲み物があることがわかりました」とのことでした。

これは便秘に悩む人だけではなく、現場で患者さんを支える医療関係者にとっても、ちょっとした衝撃だったことでしょう。

これまでは便秘に対して「とにかく繊維と水分!」くらいのざっくりしたアドバイスしかできませんでしたが、これからは科学的にもっと裏付けられた方法を患者さんに提案できるようになるかもしれないのです。

とはいえ、ここで注意しておきたいのは、今回の研究が「便秘に効く食品やサプリを完全に証明した」というわけではないことです。

今回の研究は、便秘に関する過去の多くの研究をまとめて評価した初めての大規模な取り組みでした。

そのため、まだ科学的には「便秘の食事ケアの研究は初期段階」と言ったほうが正確です。

研究チーム自身も「今回示したのは便秘改善に効果がある可能性が高い食品やサプリであり、完全な証明とは言えない」と慎重な立場を取っています。

実際、ライ麦パンは排便の回数を確かに増やしますが、同時にお腹の張りを感じる人もいて、人によって向き不向きがあります。

キウイフルーツも排便回数は多少増えますが、便がすっきり出た感じがしない「残便感」には効果が安定しませんでした。

つまり、今回示された食品やサプリは、誰でも一発で効果が出る「魔法のような特効薬」ではありません。

あくまでも「効果が期待できる有望な選択肢の一つ」であり、自分の体質や好みに合わせて選んでいく必要があります。

では、こうした研究結果を実際の日常生活でどう生かしていけばいいのでしょうか?

まず今回のガイドラインが持つ最大の意義は、「食事で便秘を改善する」という考え方に、初めてしっかりとした科学的な足場を築いた点にあります。

これまでは「体に良さそうだから」「昔から言われているから」という、いわば“経験と勘”で語られていたアドバイスが多かったのです。

しかし今回の研究によって、ようやく「どの食品やサプリが、どの程度の確からしさで効くのか」という“地図”が描かれました。

「なんとなく繊維を増やす」ではなく、「これを4週間試してみよう」という行動に落とし込める――その違いはとても大きいのです。

これによって、医師や栄養士は患者ごとにもっと的確なアドバイスを出せるようになり、便秘に悩む人自身も、より科学的に根拠のある方法を選べるようになります。

もちろん、研究には限界もあります。

今回の結論は過去の臨床試験をまとめた結果であり、今後さらに質の高い研究が進めば、推奨リストの内容が少しずつ変わっていく可能性もあります。

たとえば、まだ評価が分かれている食品――プルーンやセンナなど――も、今後の研究によって再評価されるかもしれません。

科学はつねに“更新される地図”なのです。

──あなたの次の一口が、腸を変える第一歩になるかもしれません。

元論文

British Dietetic Association Guidelines for the Dietary Management of Chronic Constipation in Adults
https://doi.org/10.1111/nmo.70173

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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