
『ばけばけ』主人公のトキを演じる高石あかりさん。画像は「高石あかりファースト写真集 幻灯」(東京ニュース通信社刊)発売時の写真
【画像】え…っ! 北川景子級? コチラが実の母が「松江藩随一の美女」と言われた、実際の「小泉セツ」さんです
勘右衛門は今後、変わるのか?
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。
第4週の16話では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の婿である「山根銀二郎(演:寛一郎)」が、松野家を出奔してしまいました。銀二郎が出ていってしまった大きな原因としては、彼を次期当主として厳しく鍛えていたトキの養祖父「勘右衛門(演:小日向文世)」の存在があげられるでしょう。
明治20年(1887年)にもなってまだ武士としての誇りを捨てず、髷を結っている勘右衛門は、とにかく「松野家の格」にこだわっています。勘右衛門は松野家が鳥取の旧士族の山根家よりも格上であることも語っており、銀二郎を傷つけてしまいました。また16話では、生活が困窮するなかで遊郭の呼び込みの仕事をしていたことを勘右衛門に咎められた銀二郎が、「格にこだわっている場合ではありません」と反論しています。
ここまで何度も「格」というワードが出てくると、松野家が実際のところどれほどの格の武家だったのか、気になる方も多いでしょう。トキのモデル、小泉セツさんの評伝『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二)には、セツさんの生家、小泉家(雨清水家のモデル)と、養家である稲垣家の、明治維新前の家格に関する記述もあります。
記録によると、小泉家は代々300石の禄を貰い、50人ほどの組士(下級武士)を束ねる番頭を務めていた名家でした。ちなみに、セツさんの実母・小泉チエさんの実家である塩見家は、松江藩の家老の家系で、さらに格上です。
そんな位の高い家の血を引くセツさんは、生後7日で子供のいなかった稲垣家に養子に出されました。稲垣家は小泉家よりも格下ではあったものの、代々100石の禄があり、戦時には12人の家来を持つ身分で、家格は松江藩の約千人の士分の侍のなかで、なかほどの位にいたそうです。
中級の武家出身のセツさんの養祖父、万右衛門さん(勘右衛門のモデル)は1853年の「黒船来航」の後、隠岐で異国船を見張る任に就き、1863年に江戸幕府第14代将軍の徳川家茂公が上洛した際は、京都の二条城や御所の警護に当たりました。また、1864年に四国連合艦隊(イギリス・フランス・オランダ・アメリカ)による下関砲撃事件が起きた際にも、松江藩の砲術方頭取として島根西岸にあった西洋式砲台に派遣されたそうです。
モデルの稲垣家を見ると、松野家はそこまで格の高い武家ではないと思われます。ただ、勘右衛門は『ばけばけ』の公式サイトで「幕末をたくましく生き抜いた生粋の武士」と説明されており、モデルの万右衛門さんと同じく武士として存分に働いたようです。そういった背景もあり長年、侍としての誇りを捨てられないでいるのでしょう。
そんな勘右衛門は、16話でトキに東京へ行った銀二郎を連れ戻しに行かせるため、所有していた刀や鎧などの武具を売り払い、旅費を工面しました。今後は、彼もだんだんと時代に順応していくのでしょうか。
※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『セツと八雲』(著:小泉凡/朝日新聞出版)
