
欧州1年目の24歳日本人MFが“衝撃ゴラッソ”で待望の初得点をゲット!「あそこまでは持っていける自信があります」【現地発】
10月19日、シント=トロイデン(STVV)対アンデルレヒトが2-2の引き分けに終わると、FW後藤啓介のもとにアンデルレヒトの選手たちが歩み寄り、健闘を称え合った。やがて後藤はひとり、アウェーサポーター席に近づき挨拶すると、アンデルレヒトのサポーターは「ゴートオー! ゴートオー!」と後藤の名前を叫んだ。
「俺はアンデルレヒトからシント=トロイデンに、レンタルで来ています。(保有元チームへの挨拶について)それは日本の文化である。国は違えど、リスペクトはするべき」
「国は違えど」の一言には、郷に入っては郷に従うのと同時に、他国に住んでプレーしても日本人としての道徳心や美徳は失わない。今は敵味方に分かれて戦ったが、やはりアンデルレヒトのサポーターは俺の仲間だ――という思いを込めたのだろう。そして、それはしっかり彼らに伝わっていた。
191センチの後藤より1センチ長身のMFネイサン・デ・キャットは17歳という若さながら、アンデルレヒトの中盤を引っ張るビッグタレント。STVV戦では11分に、鮮やかなミドルシュートでゴールネットを揺らした。その逸材に対して後藤は81分、猛然とプレスを仕掛けて転がすと、「おい、立てよ!」と促した。
「あのシーン、面白かったです」と伝えると、いたずらっ子のように後藤は笑って「でしょう? ですよね。彼とはずっとやってきたので、アイツも分かっていたから」と言った。
――「分かっていた」とは?
「俺が行くのもアイツは分かっていたし、アイツが転ぶのも俺は分かっていた。あれは、俺が先にボールに触っていたのでシミュレーションです。お互い、分かっていたので面白かったです」
後藤とデ・キャットは試合後、熱いハグを交わした。
アンデルレヒトに移籍した後藤は、そのリザーブチーム、RSCAフューチャーズの一員として24年1月12日のベルギー2部リーグ、ベールスホット戦でデビューゴールを決めている。デ・キャットはこの試合で初めてRSCAフューチャーズのベンチに入り、1か月後に初出場を果たした。以来1年半、ふたりはRSCAフューチャーズで切磋琢磨した。
「アイツとは一緒にいたので感慨深いです」
12月13日、アンデルレヒトのホーム、ヘット・アストリット・パルク(ロット・パルク)での再戦で、後藤はSTVVの勝利とゴールを狙う。
「今度はしっかり勝ちたいです。今日はデ・キャットが決めて、相手の9番(18歳のツベトゥコビッチ)も決めたのに、自分だけ決めることができなかった。その借りは向こうで返したい」
アンデルレヒトには、STVVの元エースストライカー、ベルタッチーニがいた。ファンと相思相愛の関係を築いた彼は試合後、場内を一周してスタンディングオベーションを浴び、ゴール裏では懐かしいチャントが響いていた。
しかし、ベルタッチーニと入れ替わりにSTVVのメンバーたちがゴール裏を通りかかると、ベルタッチーニのチャントと同じメロディーで「マツザワ!」の名が轟いた。それは「ベルタッチーニのチャントは今後、松澤海斗のものになる」という儀式だった。この夜、松澤がファンに残したインパクトは大きかった。
1-2のビハインドで迎えた68分、左サイドハーフのイリアス・セバウイに代わってピッチに立った松澤は、DF谷口彰悟からのミドルパスをオーバーヘッドでシュートし、バーに当てるビッグプレーでスタジアムの空気を一変させた。
「あれは、本当にたまたまです。(得意なプレーではないのか?)得意なプレーじゃないです(笑)。転んだ後は『入れ!』と思いましたけれど、惜しくも決まりませんでした」
その1分後、今度は左45度の位置から松澤はカーブをかけたクリーンシュートでファーサイドを射抜き、移籍後初ゴールとなる貴重な同点ゴールを記録した。
「ようやくです。これまで毎試合、1回はチャンスがあったので...。これまでチームが勝っても、自分自身は悔しい思いをしながら帰ってました。今週こそは、今週こそは、と思って自主練をやってきたので、(強調して)ホントにやっとという思いですね」
入団してしばらくは1分、3分という申し訳程度の試合関与だったのが、第7節のウェステルロー戦から14分という、以前よりまとまった出場時間を得るようになり、ワウター・フランケン監督はまるで松澤のことをスーパーサブのように起用し始めた。ドリブルからシュートに持ち込むまでのプレーはさすが。しかし、ゴールネットを揺らすことができなかった。
「“あそこ(左寄りのチャンスゾーン)”までは持っていける自信はあります。これまでも、あそこに入ったときは本当にチャンスがあったし、決め切れてこなかった。あそこの角度とかのシュートをずっと練習してきました。その形で決められて本当に良かったです。いつもは力が入っちゃうんですけれど、あのときは本当にリラックスして蹴ることができました」
ゴールまであともう一歩という雰囲気を醸し出しながら、リーグ戦でプレーする姿。全体練習を終えてからコーチと共にシュートの精度向上に勤しむ姿を見て、コーチングスタッフや選手たちは「今までチャンスがあったのは分かっている。練習してたのも分かっている。だから、そろそろお前は決めれるよ」「今日は絶対にゴールが決まるから」と繰り返し松澤を励まし、勇気を与えていた。こうして決まったアンデルレヒト戦のゴラッソに、フランケン監督は「ナイスゴール!」と称え、仲間たちは「ほら、言った通りだろ」とジョークを交えて喜んだ。
得点後も松澤のプレーは冴え渡り、勝ち越しゴールを奪えそうなシーンも、ドリブルで相手を置き去りしたシーンもあった。しかし、それまでもこのような切れ味鋭いプレーは何度もあったことから、私自身、「もっと早く松澤を投入すればいいのに」と思ったこともあれば、「相手が疲れた時間帯に出てきたら、効果抜群だな」とその采配に理解することもあった。はたして、松澤自身はどう思っているのか。
「自分でも『早く入れてくれ』というのは何回も思ってますが、与えられた時間で頑張ります。最初に比べたらだんだん伸びてきているので、徐々に信頼も得れてきたのかと思います。少しずつ、少しずつ、増やしていければ、いつかスタメンを奪って、それからコンスタントにスタメンで出られるようにしたい。(一拍置いてから)自分自身はそんなに焦ってないです。自分のペースで少しずつやっていければと思っているので、『今すぐスタメンにしろ』とは…思ってますけれど、それを態度に出したりはしないです」
右手の指に白い包帯、掌から手首にかけて黄色いバンテージ。
「指を怪我しちゃったんですが、治ってもそのままにしているんです」。
そのバンテージにはマジックで「14」の番号があった。それはもしかして?
「はい。ナグ(名倉功)の番号です」
V・ファーレン長崎時代のチームメイトであるMF名倉は今、病気と戦っており、クラブを通じて「この病気にかならず打ち勝ち、絶対にピーススタジアムのピッチに戻ると誓います」とコメントしている。
「ナグのためにクラブとしてもチャリティ“14NAGU(ONE FOR NAGU)PROJECT”をやりました。自分もこっちに来てから髪を剃ったり、少しでもナグの力になれたらと思ってます。今日の得点もナグのため。逆に、ナグのおかげです。たぶん、本人から『おめでとう』という連絡が来ると思います」
取材・文●中田 徹
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