「Googleマップが全然アテにならない!」
これは京都を訪れた観光客の間で相次いでいる苦情だ。特に河原町(写真)や祇園周辺では、現在地が数十メートルずれて表示されたり、方角が突然ぐるぐる回ったりと、「デジタル迷子」になる人が続出しているのだ。
原因はひとつではない。
まず京都の中心部は細い路地や高い建物が入り組んでおり、GPS電波が壁や屋根で反射する「マルチパス現象」が頻発している。観光地特有のWi-Fi乱立により、古いルーター情報が残っていることから、位置情報の誤認識が起こりやすい。
そこに追い打ちをかけるのが、最近よく言われる「ドコモ電波不安定説」だ。基地局の混雑や一時的な通信遅延によって、スマホが位置補正データを正しく取得できず、結果として誤差が大きくなるケースが報告されている。つまりGPS、Wi-Fi、通信網という三重の要因が、京都の街で観光客を惑わせているのだ。
「河原町で反対側の通りを歩いていることになっていた」
「気づいたら鴨川の真ん中にいた」
SNSにはこんな投稿がある。このエリアは細い道や入り組んだ店舗が多く、地図上でわずかに位置がずれるだけでも、実際のルートが全く違って見えてしまう。
地元の飲食店スタッフによると、
「突然、外国人観光客が『この店へはどう行けばいい?』と聞いてくることが増えました。先斗町エリアは県外の方が経営するバーが多く、地元の人でないと案内できないことがありますね」
観光客が増える週末や紅葉シーズンには、通信の混雑によって電波が不安定になり、ナビの誤差がさらに拡大する傾向が見られるという。
対策としては、Wi-FiをオフにしてGPS単独モードで再測位する、スマホを空中で8の字に動かしてコンパスを再校正する、などが有効だとされる。
とはいえ、それでも完璧に位置を特定できるとは限らない。便利なはずの地図アプリが、かえって旅人を惑わせる。古都・京都は今や「スマホ泣かせの街」と化しているのだ。
(京野歩夢)

