「安直につけたな、うちの親父も『丈(じょう)』って名前。漫画から取ってるんですよ。外国で通用する、海外でもって聞いたことがあるんです。うちの父はそれまで考えないで描けてたのが、考えないと描けなくなったって。編集者から借金して世界一周、回った。その後に『サイボーグ009』もあったと思う」
「サイボーグ009」の作者といえば、「仮面ライダー」「人造人間キカイダー」「がんばれ!!ロボコン」の原作者として知られる漫画家・石ノ森章太郎氏だ。その偉大な父を持つ俳優・演出家の丈(旧芸名・小野寺丈)が、YouTubeチャンネル「丈熱BAR」(10月19日)で明かしたのが、この言葉だ。
「石森プロ」の代表取締役は石ノ森氏の次男・小野寺章氏が務める。長男の丈が「スケバン刑事」(フジテレビ系)シリーズ、「HOTEL」(TBS系)などのドラマで経歴を重ねた俳優だと知っている方は、意外と少ないかもしれない。
石ノ森氏に話を戻せば、デビューは1954年。漫画家としてのキャリアを積み重ねる中で、1961年に70日間の海外旅行に出かける。そして1964年に「サイボーグ009」の連載を開始した。
同作は日本人の島村ジョー(009)を始め、ロシア出身のイワン・ウイスキー(001)、アメリカ出身のジェット・リンク(002)、フランス出身のフランソワーズ・アルヌール(003)、東ドイツ人のアルベルト・ハインリヒ(004)、ネイティブアメリカンのジェロニモ・ジュニア(005)、中国出身の張々湖(006)、イギリス出身のグレート・ブリテン(007)、アフリカ出身のピュンマ(008)といった、改造手術を受けたサイボーグが悪の組織と戦う物語だ。
島村ジョーの名を自らにつけられた丈は、父の命名を「安直」と評するが、こうも得意げに言うのだった。
「初めて未来を見据えた漫画家は、手塚治虫先生なんですよ。初めて世界を見据えた漫画家は、うちの父なんですよね」
(所ひで/ユーチューブライター)

