女性初の首相として、10月21日に発足する高市早苗政権の目玉は女性閣僚だ。高市氏は女性議員の積極的な登用を目指す方針を示している。中でも注目されるのは片山さつき参院議員で、財務相になるのではないかと取り沙汰されている。財務省では「先輩」が満を持して古巣に乗り込んでくるのではないかと、戦々恐々としているそうだ。
片山氏は東大法学部を卒業して1982年に財務省に入省した。事務方トップの新川浩嗣事務次官が1987年に入省だから、「後輩だらけ」となる。財務省は学業成績優秀な人たちの集まりだが、片山氏はその中でも際立っている。
本人が平成2013年に経団連で行った講演で披露したエピソードがある。片山氏は就職活動中に、経団連にも応募書類を提出していた。「東大法学部で国家公務員上級試験に受かっており、成績は全優、しかも自宅生」だったため、経団連からはすぐに、自宅に連絡があったそうだ。
たまたま片山氏は外出していたため、代わりに出た母親が「娘は外出中です」と答えたところ、相手は「慌てて勧誘を撤回した」そうだ。「さつき」という名前で男性と勘違いしたのか…。当時は「男性しか採用しない」方針だったそうだ。
1885年(明治18年)の内閣制度発足以降、これまで男性しか就いたことがないのが財務相であり、片山氏が財務相になれば、高市氏同様に女性初となる。歯に衣着せぬ発言で知られる片山氏だけに、高市氏よりも大きな話題になるかもしれない。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)

