クライマックスシリーズの、パ・リーグ最終ステージ第6戦。崖っぷちからの3連勝で奇跡の下剋上を狙った日本ハムは10月20日の試合で、ついに力尽きた。ソフトバンクに1-2で敗れ、0勝3敗からの歴史的逆転はならなず、夢の日本シリーズ進出は目前で途絶えた。
プロ初の中4日で先発登板した達孝太が6回途中2失点(自責1)と気迫の投球を見せたが、打線はモイネロの前に沈黙。あと一本が出なかった。
試合後、新庄剛志監督はこうコメントしている。
「シーズンを通して頂点を取ったソフトバンクさんが日本シリーズに。1位同士が行くのが日本シリーズ、僕たちが行くべきじゃない」
潔さを感じさせる言葉ではあるが、新庄監督のCSに対する考え方、思いを表すものだった。
これを受けてファンコミュニティーサイトでは、議論が始まった。
「それを言ったらおしまい」
「負けてから言うのはダサい」
「だったらシーズン中にもっと頑張れよ」
0勝3敗から3連勝で望みをつないだチームに対し、奇跡を信じて応援してきたファンほど、現実を突きつけられたように響いたのだろう。
試合前、新庄監督はインスタグラムに「3勝3敗 最終決戦 どこかに神様はいました」と投稿し、「ここが甲子園に見えてきた」と語るなど、高揚感をにじませていた。熱を帯びたムードの直後だっただけに、試合後の落ち着いた言葉はいっそう、冷静な印象を強めた。
野球評論家の高木豊氏は試合後、自身のYouTubeチャンネルを更新すると、言葉を詰まらせながらこう語っている。
「新庄監督が負けた瞬間、背を向けてベンチの奥へ去っていった姿は、来年につながる。選手たちも動けないほど疲弊していたと思う。この敗戦を必ず、来年に生かしてほしい」
悔しさと同時に、次を見据えるような後姿の新庄監督は、こうも語っている。
「(2年連続で)2位になったことによって、さらに強いチームが出来上がる予感はビンビンしますね。この若いメンバーたちがこれだけ活躍してくれたら、他のチームはうらやましい限りじゃないですか。来年は断トツで優勝して日本シリーズに行く準備はします」
この宣言を、来季は明確な結果とともに証明しなければならない。新庄監督の真価が問われるのは、ここからだ。
(ケン高田)

