毎年のように「飛躍の年」と期待されながら、結果が出ない。中日・根尾昂にとって来季はいよいよ、本当に正念場のシーズンとなりそうだ。その背景には、2026年から本拠地バンテリンドームに新設される「ホームランウイング」の存在があった。
中日は2025年2月、外野フェンス前にテラス型観客席「ホームランウイング」(仮称)を新設すると発表した。左右中間の最深部は116メートルから110メートルに、外野フェンスの高さは4.8メートルから3.6メートルに変更される。チームは今秋、フェンス位置を白いテープで再現して秋季練習を実施し、選手たちに新しいグラウンドを体感させた。岡林勇希は「東京ドームに近い」と話し、上林誠知も「ペイペイドームより狭く感じる」と語る。打者にとってはプラス材料となりそうだ。
ところが投手陣にとっては、厳しい環境になる可能性がある。根尾は今季4登板で防御率7.94。狭い球場では極端な被弾傾向があり、横浜では防御率16.88と苦戦した。バンテリンドームのフェンスが6メートル近く前進すれば、被本塁打リスクはさらに増す。投手再転向から4年、ようやくフォームを固めつつある中で、ホームの環境が逆風になる可能性がある。
一方で、野手時代の根尾を評価する声は、今も根強い。関係者の間では「打撃のセンスをもう一度、磨けば化ける」「守備範囲の広さは一級品」と、期待感しかないのだ。
根尾が投手に転向したのは2022年、立浪和義監督就任直後だった。当時の内野守備走塁コーチ・荒木雅博氏は「突然の決定で驚いた。相談はなかった」と語っており、野手起用を望む意見は当時からあった。ヤクルトOBの宮本慎也氏も「ショートとして一から教えたかった」と発言している。
今季の根尾は2軍で42試合に登板し、防御率2.68。ウエスタン・リーグ全体で2番目に多い登板数だった。井上一樹監督の信頼は厚いが、昨オフには背番号が7から30に変更され、「野手への未練を断ち切れ」というメッセージが込められた、と報じられている。
狭くなるバンテリンドームで投手として生き残るか、環境を変えて新たな道を探すか。「ホームランウイング」の導入を前に、根尾がどんな形でチームに貢献していくのか。来季はその存在意義が改めて問われるシーズンになりそうだ。
(ケン高田)

