
YouTube「スクウェア・エニックス」チャンネル「HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』遊び方紹介映像」より (C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX
【動画】「周囲8マスの暗さ」がよくわかるファミコン版とHD-2D版の「洞窟」比較
「コマンド入力」も新鮮だった?
2025年10月30日、HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』(スクウェア・エニックス)が各プラットフォームに発売されます。公開されている情報だけでも、オリジナルやリメイク版からガラリと様変わりした様子がうかがえることでしょう。
そうしたなか、1986年に発売された最初のファミコン版『ドラゴンクエスト』にはあった、おそらく今後、二度と復活しないであろう要素を見ていきましょう。
カニ歩き
ファミコン版『ドラゴンクエスト』ならではの要素といえば、そのひとつに主人公のカニ歩きがあるでしょう。ネット上を眺めても「カニ歩き」と称する事例は広く見られますが、あくまで便宜上であって、横方向しか動けないということではありません。これは、主人公のキャラクターが画面の正面を向いた絵しかなく、上(きた)や左右(にし、ひがし)へ移動しても、正面を向いたまま動くことを指しています。
おそらくはプログラムの容量節約のための仕様でしょう。ご存じのようにファミコン版『ドラゴンクエスト』のロムカセットは容量が64キロバイトで、ゲーム中のさまざまなところに、その容量に収めるための工夫が見られます。使用するカタカナの文字数を減らすために、本来「ダークドラゴン」としたかったところを「ダースドラゴン」にしたというお話は広く知られています。
「はなす」「きた」
また、ファミコン版『ドラゴンクエスト』ではキャラクターに話しかける際、そのたびに「話しかける方向」を指定しなくてはいけませんでした。
これは上記の「カニ歩き」と関連しており、つまり本作の主人公には「どこを向いているか」という概念がないため、たとえば複数の町の住人にかこまれた状態で「はなす」コマンドを実行する場合などに、「どちらへ話しかけたいのか」を「きた」「ひがし」「みなみ」「にし」から指示する必要が生じるというわけです。
現在の基準からすれば、話しかけるだけでふたつのコマンド入力が必要になるというのは、わずらわしいだけだと思われることでしょう。実際、のちのシリーズ作品やリメイク作品では「べんりボタン(アクションボタン/決定ボタン)」一発で話しかけられるようになり、コマンドウインドウを開く必要すらなくなっています。
ところが当時のお子様(50代男性)は「わずらわしいと思ったことはなかった」といい、「あくまで個人の感想にすぎませんが」としたうえで「コマンド入力が新鮮で、それそのものを楽しんでいたような気がします」と話します。
一寸先は闇の洞窟
その当時のお子様が、HD-2D版『ドラクエ1&2』の発売前情報に接し、もっとも印象的だったのが「洞窟が明るいこと」といいます。
『ドラゴンクエスト』では、洞窟などのダンジョン内部は暗闇(黒一色)で、「たいまつ」ないし「レミーラ」の呪文で周囲を照らす(マップを表示する)という仕様でした。たいまつは主人公を中心とした周囲8マスしか見えず、「レミーラを覚えて視界がすごく広くなったのは、とても印象的でした」(50代男性)とか。
2025年9月3日付の、「ドラゴンクエスト宣伝担当」X(旧:Twitter)アカウントの投稿では、HD-2D版『ドラクエ1&2』における洞窟の様子が、ファミコン版との比較映像とともに確認できます。
