M4を大きくしのぐM5のパフォーマンス
では、M5チップセットのGeekbench 6 Proと、Geekbench AIによるベンチマーク結果を見てみよう。

ここでは、ひとつ前のモデルであるM4、そして、参考までに2020年に発売されたApple Siliconの原点MacBook Air M1、そして上位モデルであるMacBook Pro M1 Proのデータと比較してみた。そのあたりのモデルを使っている人は、さすがにそろそろ買い替えを検討されているのではないかと思うのだ。

まずはシングルコア。これは純粋にTSMCの3nmプロセスの第3世代と第2世代の差ということになる。前世代のM4と比べるとおおよそ約15%ぐらい性能向上している。最初のApple SiliconであるM1シリーズと較べると、おおよそ2倍近い差がついていることも見て取れるだろう。M1は良いマシンだったが、いくらなんでもそろそろ買い替え時だ。

マルチコアの場合、それにコア数の差を掛け合わせたものになる。M4とM5のコア数は同じだから、マルチコアの性能差も、ほぼシングルコアの数値を反映したものになる。

次は、グラフィック性能を大きく左右するGPUのメタルスコア。なんと、M5はM1の2.5倍のスコアをマーク。14個のGPUコアを持つM1 Proや、M4と比べても30%以上高性能だ。グラフィック性能において、大幅に性能向上したと言える。Geekbench 6のメタルの数値で約31%の性能向上ということだ。

最後に、Geekbench AIの数値もグラフ化しておこう。
こうやって見ると分かるように量子化(Quantized)の数値は新しいモデルになるほど飛躍的に伸びている。これは量子化の数値が、Apple Intelligenceのようにローカルで動かすコンパクトなAIの動作速度に大きく影響するからだ。Apple Intelligenceが発表されて以降、量子化の数値を上げるように開発されているのだろう。
M5の量子化の数値は、M1やM1 Proのなんと4倍近く。M4と比べても20%近い向上を果たしている。実のところ、今や言語処理や画像処理など、意識していなくても多くの部分でAIが使われている。それには、処理によってCPU、GPU、Neural Engineのうち最適なものが適宜使われているが、ここではNeural Engineのパフォーマンスを計測している。

M1 Proの半分以下の時間で、手ブレ補正を完了
実際的なシーンでも計測してみた。
Adobe Premiere Proで、動画に手ブレ補正(Warp Stabilizer)をかけた時にかかる時間を計ってみた。長さ10分の4K Apple ProRes 422 HQを用意し、エフェクトをかけ終わるまでの時間を計測した。

このテストは、メインになる解析ではCPU性能、処理にはGPU性能が大きく影響する。また、アップルが強くアピールしているM5の153GB/sというのも大きく影響を与えている可能性がある(前モデルのM4では120GB/s)。

計測結果はご覧の通り。2021年の秋発売のMacBook Pro M1 Proでは57分46秒かかった処理が、半分以下の27分35秒で終了している。メディアエンジンの効果などもあるのだと思うが、4年経つとProチップと較べても2倍以上のスピードで処理できるというのには驚かされる。