アメリカンバーボン大手のジムビームは、2026年からF1に新規参戦を果たすキャデラックと複数年契約を結び、公式スピリッツパートナーに就任したことを正式に発表した。
現在サントリー・ホールディングス傘下にあるジムビーム。200年以上の歴史を誇り、主にアメリカ・ケンタッキー州クレルモンのジェームズ・B.ビーム蒸留所でバーボンウイスキーを世に送り出してきた。
ジムビームのマネージングディレクターであるラシディ・ホダリは、ブランドをF1という世界的な舞台に送り出すことを楽しみにしているという。
「ビーム家の歴史に深く刻まれたブランドであるキャデラックと共に、ケンタッキーの魂をF1という世界的な舞台に届けられることを大変うれしく思う」とホダリは言う。
またジムビームは開催地や観客層に応じてイベント展開を行なっていくという。サウジアラビアやバーレーン、カタールなどアルコール広告が禁止されている開催国を念頭に置き、ホダリは次のように語った。
「主要市場では、時代や場所、各レースにふさわしい形でブランドを表現するため、ケースバイケースで文化的に適したカスタムブランディングを導入する」
またホダリはこう続けた。
「自動車レースもジムビーム・バーボンの製造も、個々の要素と可動部分が一体となって初めて、前向きな集合的成果を生み出せる。これはまさに、我々がジムビームを世界に届ける姿勢と同じだ」
「ピットクルーも蒸留所の労働者も、勝利を可能にするのはコミュニティの力だと理解している。次世代のF1ファンとの繋がりの重要性という共通認識こそが、我々の原動力だ」
そしてキャデラックF1チームのグレアム・ロードン代表は、ジムビームというアメリカの象徴的なブランドが陣営に加わることを喜んだ。
「この提携により、アメリカの伝統を代表するふたつのアイコンが結集し、真に特別なモノとなった」とロードン代表は言う。
「F1は世界的な舞台であり、我々はファンにこの旅路の一歩一歩を共に歩んで欲しいと考えている」
「我々のビジョンはレースだけに留まらない。スポーツ、テクノロジー、文化が交わる領域で活動するチームを構築している。ジムビームがパートナー陣に加わったことで、来季デビューに向け準備を進める中、このプロジェクトの勢いは日々強まっている」
ジムビームは既にメジャーリーグ(MLB)で、キャデラックのF1プロジェクトを進めるTWGグローバルのマーク・ウォルターCEOが筆頭オーナーを務めるロサンゼルス・ドジャースの他、NFLのカンザスシティ・チーフス、ダラス・カウボーイズのスポンサーを務めてきた。さらにインディ500やNASCAR、オーストラリア・スーパーカーチームのディック・ジョンソン・レーシング、アメリカサッカー連盟との契約を有している。
しかしキャデラックとジムビームの間には、ブランド創業者のジェームズ・“ジム”・ビームが独自の酵母を保存するためにキャデラックのフロントシートに瓶を置き、毎晩自宅まで運転して帰っていたという歴史的な繋がりがある。
キャデラックにとってジムビームはふたつ目の公式パートナー。先日には公式アパレルパートナー兼ライフスタイルスポンサーとして、アメリカのトミーヒルフィガーがキャデラックファミリーに加わった。
Sports Business Journalによると、キャデラックF1は包括的なパートナーシップ探しを行なっており、5年契約で年間5500万ドル(約80億円)から7000万ドル(約103億円)規模のタイトルスポンサー獲得も視野に入れているようだ。この契約にはマシンで最も目立つエリアへのロゴ掲出や、チームアパレル、ホスピタリティ、マーケティング権が含まれる。
さらにキャデラックF1は最大5社のプレミアムパートナー(各2000万ドル/約29億円から3000万ドル/約44億円)、8社の公式チームパートナー(各300万ドル/約4億円から1500万ドル/約22億円)、そして技術サプライヤー(各年50万ドル/約7000万ドル)の獲得を目指しているという。

