サンマリノGP後にミサノで行なわれたMotoGP合同テストは、V4エンジンを搭載したヤマハのバイクが注目を集めたが、ホンダも2026年型RC213Vの初期バージョンを投入した。
このニューマシンはルカ・マリーニとジョアン・ミルが普段使用しているマシンとは特にリヤ周りの形状がかなり異なっている。新型マシンが真っ黒のカーボン剥き出しだったことも、普段との違いを浮き彫りにしていた。
サンマリノGPでの転倒で首を負傷し、ミルがテストを欠場したため、マリーニはその分、追加の努力を強いられた。しかしサーキット内のプレスルームでメディア対応したマリーニは、非常に前向きな評価を示した。
「有意義なテストだった。今シーズン終盤を見据えるなら、バルセロナでやったテストの方が良かったかもしれない。そちらはシーズン終盤に向けた要素に集中できたからだ。一方ミサノでは来季のマシンに焦点を当てた」
「走るのは楽しかったし、良い発見もあった。まだ速さには欠けるが、大きなポテンシャルを秘めている」
「午後は今季終了までに実現可能な改善点に集中し、セッティングと空力面でいくつかの発見があった。ガレージの全員が素晴らしい仕事をしたと思う。ジョアンが走行できなかったのは残念だ。彼の意見があればテスト内容の評価が容易だったし、何より彼のフィードバックが得られたはずだから」
現行マシンと比較して新型が前進した点を問われると、一瞬考え込んだ後、彼は「おそらく安定性だろう。現時点では新型の方が安定していると思う」と答えた。
彼の仕事は主に空力パッケージに集中しており、その感想について非常に興味深い見解を示した。
「テールはダウンフォースを少し増やしてくれるが、コーナリングと安定性を確保するには、フロントとリアのダウンフォースのバランスを常に保つことが重要だ」
「バイク全体にウイングを装着した時があって、(高速区間の)ターン11~13で非常に安定していたんだ。だから各ラップでより鋭くコーナーに進入できた。しかし同時に旋回性能は少し失われていた」
「そこで一歩後退し、適切な妥協点を見出した。しかし空力開発を適切に進め、テスト内容が機能するかどうかを把握することは極めて重要だ。全てのウィングを正しく機能させることで多くの問題が解決される。今後もこの姿勢を貫く必要がある」
しかし開発プロジェクトの継続は、マリーニにとって大きなモチベーションとなっているようだ。夏休みの後、彼はホンダとの過去1年半にわたる取り組みの成果を徐々に見せ始め、トップ10入りを安定して果たすようになった。
「より気に入っているんだ。サテライトチームなら、プラクティスでできる範囲で良いセッティングとタイムを出せるかもしれない。一方ファクトリーチームでは、うまくいかないことも試すし、遅くなることもある。でも大きな刺激になるからモチベーションも高いんだ」
「バイクを向上させる何かを見つけたら、次の週末にすぐ使いたくなる。でも時には時間がかかる。それでも、このプロセス自体が僕にとって大きな喜びだ」
ホンダが着実に進歩を遂げる一方、ヤマハは期待を背負ったV4エンジンのデビューが期待外れに終わった。ファビオ・クアルタラロはV4バイクについて「今のところは悪いね」と厳しい評価を下したのだ。
これについてマリーニは、次のように語った。
「彼らはより長い道のりを選んだ。エンジンを変更すると、より困難になる。初めてV4を開発する場合、確実に速度は低下し、燃料消費も増える。それは当然だが、修正されるだろう」
「僕たちは非常に正確なフィードバックを得ながら、正しい方向へ順調に進んでいる。これによりエンジニアは僕たちの要求に完璧に応えられる。とても楽しい作業だ」

