【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、直木賞を受賞した真藤順丈さんによる小説『宝島』の実写映画化『宝島』(2025年9月19日公開)です。なんと191分の大長編! 試写で鑑賞したのですが、主要人物を演じる妻夫木聡さん、永山瑛太さん、窪田正孝さんが素晴らしく、没頭したので全然長さを感じませんでした。
では、物語から。
【物語】
舞台は米軍基地から物資を盗んで住民に分け与える “戦果アギヤー” と呼ばれる若者たちがいた、沖縄がまだアメリカだった時代。
幼馴染のグスク(妻夫木聡さん)、レイ(窪田正孝さん)、ヤマコ(広瀬すずさん)の3人は、リーダーのオン(永山瑛太さん)と一緒にアメリカ統治下の沖縄でいつか大きな戦果を上げることを目標に活動をしていました。
ところが、米軍基地襲撃を計画していたリーダーのオンが突然行方不明になってしまうのです。
【過酷な現実と闘う若者たち】
冒頭、“戦果アギヤー” のメンバーがものすごいスピードで車を走らせ、そのハイテンションに圧倒されます。
本土復帰前の沖縄はアメリカの統治下にあり、沖縄県民は彼らに従わざるを得ない日々を送っていました。そこに風穴を開けようと活動していたのが “戦果アギヤー” です。沖縄を取り戻したい、米軍に一泡吹かせたい、そんなたぎる思いが冒頭からヒシヒシと感じられ「何が始まるのだろう」とドキドキしました。

