【リーダー・オンを探すグスクたちの人生】
オンが行方不明になってから、グスク、レイ、ヤマコの人生は「オンを探す旅」に変わります。グスクはオンを探すために刑事になり、レイはオンに関する情報を収集するためにわざとヤクザになり刑務所に入ります。ヤマコだけは「オンとの約束だから」と教師に。
とにかく一つの目標に向かって情熱的に突っ走る彼らは危なっかしくも眩しく映りました。そりゃ過酷な状況下で生きる彼らの苦しみは想像を絶するものだと思いますが、常に全力で生きているグスクたちの熱量が映画を観ているこちらにもマグマのように流れてきて……。
私たちは超生ぬるい世界で生きているのかも、と思うほどでした。
【グスクたちを通して知る沖縄の歴史】
やりたい放題のアメリカ兵との対立や基地反対のデモなど、沖縄の街は常に激しく揺れ動き、本土復帰前後の沖縄がこんなに大変だったとは。そして、沖縄が返還されても米軍基地が残ることが、どれだけ沖縄県民を苦しめているか。
グスクたちのオンを探す旅を追いかけながら、沖縄の歴史を体感する構成になっているところが『宝島』のすごさ。
コロナ禍で制作された影響で2回も撮影が中断したそうですが、大友啓史監督は決して諦めず、粘り強く描き切った。『るろうに剣心』シリーズなどで有名な大友監督ですが、本作は監督の新たな代表作になったのではないかと思います。

