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松村北斗、新海誠氏作品の実写化オファーを受け「やりたいという気持ちを止められなかった」<秒速5センチメートル>

松村北斗、新海誠氏作品の実写化オファーを受け「やりたいという気持ちを止められなかった」<秒速5センチメートル>

松村北斗と奥山由之監督が、韓国・釜山国際映画祭に参加
松村北斗と奥山由之監督が、韓国・釜山国際映画祭に参加 / ※提供画像

松村北斗(SixTONES)が主演を務める映画「秒速5センチメートル」が10月10日(金)に公開される。この度、同作が第30回釜山国際映画祭の<オープンシネマ部門>に正式出品され、松村と奥山由之監督が現地で行われたプレミア舞台あいさつに登壇した。

■新海誠の劇場アニメーションを実写化

「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締り」など、記録的なヒット作を生み出してきた新海氏の劇場アニメーション「秒速5センチメートル」を、「ポカリスエット」のCM映像や米津玄師、星野源らのMVの制作を手掛けている奥山監督が実写化。

東京の小学校で出会った遠野貴樹(松村)と篠原明里(高畑充希)は、互いの孤独にそっと手を差し伸べるようにして、少しずつ心を通わせていった。しかし、卒業と同時に明里は引っ越してしまう。その後の中学1年の冬、栃木県・岩舟で再会を果たした2人は、雪の中に立つ1本の桜の木の下で、「2009年3月26日、またここで会おう」と最後の約束を交わす。18年という時を、異なる速さで歩んだ2人が、ひとつの記憶の場所へと向かっていく、大切な人との巡り合わせを描いた、淡く、静かな、約束の物語。

■松村北斗、釜山国際映画祭へ2度目の参加

1996年に創設され、アジアを代表する映画の祭典である釜山国際映画祭。中でも、人気・芸術性に富んだ新作や国際的に評価された作品が選出される<オープンシネマ部門>に、同作が正式出品された。9月22日(月)には、釜山最大の座席数(5000席規模)を持つメイン会場「映画の殿堂」の野外スクリーンにて公式上映されることも決定している。

公式上映を控えた9月18日、主演を務めた松村と奥山監督が釜山の地へ到着。韓国を代表する海雲台(ヘウンデ)ビーチを前に、釜山国際映画祭への意気込みを語った。同映画祭のA Window on Asian Cinema部門に選出された「キリエのうた」(2023年)以来2度目の参加となる松村は、釜山国際映画祭への参加について、「前回初めて釜山に来た時の感動も大きかったですが、今回は再び来ることができたという喜びや、奥山さんと一緒に来られたということが、こんな経験もあるんだと感動しています」と想いを述べた。

また、海外での初上映に向けて、「海外の方がどういう感覚、どういう視点で見るのか、正直未知な部分があるので、驚きや発見もある上映になると思います。今回の映画には『種子島編』として海が重要なパートもあるので、海が特徴的な釜山で上映をするということは、とてもリアルな温度感が伝わり、受け入れてもらえるのではないかと期待しています」と胸を膨らせている様子を見せた。

今回初めて釜山国際映画祭に参加する奥山監督は「この作品が、釜山でどのように受け止められるのか本当に楽しみですし、何より日本の春夏秋冬がたくさん映っている作品だと思うので、釜山の海風を感じながら観ることができるというのがとても光栄です」と話した。

■松村北斗、オファーされた当初は「すごく怖いチャレンジだなと…」

そして、同日の夜7時30分から、ソヒャンシアター新韓カードホールにて、プレミア上映が敢行された。同作にとって、海外での上映は釜山国際映画祭が初めてとなる。チケットは発売開始後、数分もたたぬうちに完売した。

上映後、松村と奥山監督が、約700名の来場者の前で舞台あいさつに登壇。上映後、松村と奥山監督が拍手に包まれて登壇すると、監督が「アニョハセヨ」と、松村も「アニョハセヨ。松村北斗です」とあいさつすると、会場からはキャーという歓声が上がった。その後、奥山監督へMCから「なぜ新海誠監督のアニメーションを映画化したのか」という質問が投げかけられると、「2年くらい前にプロデューサーの玉井さんからお話をいただいたのが始まりです。僕は、高校時代に原作のアニメを見ていたのですが、30代になってから改めて見直してみると、3つのパートからなるアニメーションのうち、最後の大人になった主人公の貴樹が抱いている、30代特有の、未来への不安や過去への未練など、そういったものが合わさった焦燥感、不安、焦りが、今の僕にもすごく重なり合いました。今の自分だからこそ、この原作を実写映画にできるのではないかと思って、オファーを受けました」と制作の経緯を回顧した。

松村は、同作に参加することになった経緯や、また実写映画で遠野貴樹役を演じるにあたっての役作りについて質問を受け、「オファーをいただいた時点で、すごく怖いチャレンジだなと思いました。日本だけでなく、韓国の皆様もそうですし、世界各国にファンがいる原作で、ある意味、映画として一度答えが出ていて完成されている作品に、もう一度チャレンジするというのはすごく怖かったです。ですが、僕自身、もとから大ファンの原作だったので、お話をいただいてしまった以上、やりたいという気持ちを止められないというのが、この作品に挑むきっかけでした」とオファーを受けた際の気持ちと原作への想いを告白した。

そして、「役作りで大切だと思ったのは、今言ったように、自分が好きな作品で、自分が好きなものを投影していたタカキというキャラクターだったからこそ、自分がこういうキャラクターでいたいという欲や憧れみたいなものを一度捨てて、きちんとこの人の人生と向き合うのに時間がかかりました。そこがかなり重要かつ難しい作業でしたね」と原作ファンならではの苦労を語った。

■“北斗”という名前の由来と、星が描かれる作品との縁に言及

続いて、「松村北斗さんが三宅唱監督の『夜明けのすべて』に出演された際、夜空を見上げて星を数えるというシーンがありましたが、今回の『秒速5センチメートル』の中でも、星を見ながら色々な思いを巡らせるという部分が共通していておもしろかった」という感想が寄せられた。

松村は、「どちらの作品にも星やプラネタリウムというものが共通していて、偶然にも北斗という僕の名前は星が由来なので、すごく縁深いものだなと感じています。人間の細胞をどんどんズームアップしていくと宇宙の様子と似た画像になるそうで、そのように人間は自分のことでも、小さい1つのことが宇宙のようにわからなかったりします。宇宙や星というのは、ある意味、人間の大きなテーマなんじゃないかなと思っています」と自身の名前と作品の縁の深さについて思慮深くコメントした。

■来場者からの質問に答えるQ&Aに丁寧に回答する2人

その後、来場者からの質問に答えるQ&A方式でファンとの交流を図った。

「『秒速5センチメートル』というタイトルについて、それぞれの速度がとても出ていて、会うために待つ時間や、月のスピード、宇宙船など、それぞれの速度の中で出会いと別れがあったり、偶然があったり、そういうことが感じられる作品だった」という来場者からの声が。

それに対し奥山監督は、「『秒速5センチメートル』の魅力的な要素の1つとして、距離や時間は、いつ誰が、どこでどのように感じるかで、伸び縮みするということを描いている物語でもあると思います。貴樹にとって、例えば岩舟に向かう電車の中で、雪で電車が動かなくなってしまった時間は、たった数時間でも彼にとっては永遠のように長く感じたと思うんです。同じように距離にしても、例えば貴樹と明里は引っ越しによって物理的な距離が離れてしまったけど、文通というやりとりで心理的な心の距離っていうのは近くなったかもしれない。逆に貴樹と花苗という種子島で同じ学校に通う2人は物理的な距離は近いけれど、心理的な距離はなかなか縮まらない。そういう距離と時間というものの伸縮性を原作の新海さんが巧みに描いた物語だと思うので、そこに注目して見ていただけるととても嬉しいです」と注目してほしいポイントをアピール。

最後に、松村に対して、「貴樹を演じながら、自分と似ていると感じた点はありましたか?」という質問が投げかけられた。「具体的な境遇は違うけれど、人にはそれぞれが生きるスピードがあって、自分がゆっくりなのか、どこかズレが生じていて埋まらないと感じることがあり、それが自分にとってネガティブなものであるということが、貴樹と根底にあるベースのムードは近かったかなと思います」と貴樹との共通点について話し、舞台あいさつは幕を閉じた。

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