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「東京の暑さはヘビーだ」男女35km競歩、マラソンで明るみになった蒸暑の世界陸上 20日の男女20km競歩もサバイバルレースか

「東京の暑さはヘビーだ」男女35km競歩、マラソンで明るみになった蒸暑の世界陸上 20日の男女20km競歩もサバイバルレースか

9月13日より開幕した東京世界陸上。34年ぶりに国立競技場に帰ってきたトラック&フィールドの超人たちの熱戦は佳境を迎え、20日には男女20km競歩がそれぞれ行なわれる。ただ、心配されるのが過酷な気象条件だ。

 大会初日から近年の猛暑問題が明るみになった。午前7時30分に発走した男子35km競歩で途中棄権者が10人も出る過酷な戦いとなった。スタート時の気象条件は気温26度、湿度77パーセント。蒸し暑さの中でのレースは日本人ランナーの体力も削った。

 2大会連続メダルの川野将虎はトップ集団でレースを引っ張っていたが、27キロ過ぎにフラついて一度立ち止まると、嘔吐する事態に。30キロ過ぎから失速して18位に沈み、3大会連続の表彰台はならず。レース後には倒れ込んで救護スタッフに付き添われ車いすで退場した。

 のちに日本陸連によると、熱中症による脱水症状で身体が動かなくなってしまったとのこと。レース翌日には、体調が回復したことを川野本人がコメントで発表している。
  また、マラソンでも気象問題は露呈した。14日の女子は酷暑のためにレース開始時間が午前8時から7時30分に前倒しされたが、レース後半は気温が30度を超えて、湿度も80%に到達。極めて厳しい暑さでのサバイバルになった。

 ゆえに湿度の高さもあってか、上位選手に異変が起きる。36キロ地点で先頭集団の3番手を走っていたマグダリン・マサイ(ケニア)が中央分離帯に座り込み、その後レースを途中棄権するアクシデントが発生。39キロでは5番手を走っていたステラ・チェサン(ウガンダ)も急激にペースダウンする事態となった。

 翌15日に実施された男子マラソンも同時刻スタートだったが、当日の気温は26度、湿度68%。高温多湿なコンディションに五輪や世界陸上の出場経験を持つ実力者が次々と脱落した。強豪のエチオピア勢は2時間2分38秒の自己ベストを持ち、今大会の優勝候補だったデレサ・ゲレタを含む全3選手が途中棄権。スタートラインに立った88人中、4分の1にあたる22人がゴールできなかった。 男子マラソンでタンザニア史上初の金メダリストになったアルフォンスフェリックス・シンブは「非常に厳しいレースだった」と、レーン中のコンディションに言及。「スタートのときは少し暑かったけど、7キロくらい進むと涼しくなってきて、また暑くなった。給水所では毎回水を飲み、氷も取って体を冷やした。これが功を奏したと思う」と話し、的確な水分補給のタイミングが勝利につながった。

 他の海外勢も東京の酷暑に音を上げた。ブラジル人選手は「私が今まで参加した世界陸上とは違うね。速いペースで走らず2時間20分や25分でゴールできるようなペースで走らないと」と苦笑い。オランダ選手は「フィニッシュラインまで、耐えなければならなかった」「20キロ地点からペースを抑えるよう、走り方を変えなければならなかった」とコメント。オーストラリア人選手は「日本が暑いことは知っていたけど、今日はヘビーだった。暑さによる集中力の低下で途中で転けちゃったよ」と、厳しい気象条件に驚きを隠せなかった。
  男女マラソン終了後、会見した谷井孝行競歩担当ディレクターは「非常に過酷な環境の中で実施された。スタート時は気温は高くなかったものの湿度が高かった。徐々に暑さを感じる展開だったと思う」と振り返った。
 
 気象庁の公式サイトを見ると、20日の国立競技場の天候は曇り。女子20km競歩のスタート時(午前7時30分)の気温は23度前後だが、湿度は80%。男子20km競歩(午前9時55分)は24度で73%と蒸し暑さが予想される。

 特に男子は世界記録保持者の山西利和が出場するためメダル争いが期待される注目レース。はたして、どんなレース展開になるのだろうか。 

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
配信元: THE DIGEST

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