
齊藤京子が初主演を務める映画「恋愛裁判」が2026年1月23日(金)に公開される。この度、第30回釜山国際映画祭<アジア映画の窓部門>に正式出品され、9月18日、齊藤と深田晃司監督が現地で開催された舞台あいさつに登壇した。
■「恋愛禁止ルール」を破ったアイドルが裁判にかけられる
同作はアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンター山岡真衣(齊藤)が、「恋愛禁止ルール」を破ったことで裁判にかけられる物語を通じて、煌(きら)びやかなアイドル業界の裏側に潜む孤独や犠牲、そして個人が自己を取り戻すための闘いを、痛切なリアリティと繊細な人間描写で描き出す。恋愛というごく自然な人間の感情が、なぜ“罪”として裁かれるのかという、自らの心に潜む正しさの基準や、人の心を縛るルールの本質と向き合うストーリーに仕上がっている。
監督は「淵に立つ」で第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門で審査員賞を受賞し、前作「LOVE LIFE」で第79回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出されるなどの活躍を見せる深田氏が務める。
■5000人規模の野外グリーティングに登場
この度、同作は韓国・釜山で9月17日~9月26日(金)に実施される第30回釜山国際映画祭<アジア映画の窓部門>に正式出品。齊藤と深田監督は、9月18日昼2時から「映画の殿堂」オープンシネマで行われた野外グリーティングに登場した。
およそ5000人を収容する大スクリーンを背景に、冒頭、2人はそれぞれ韓国語で挨拶すると会場からは大きな拍手と歓声が上がった。そして、MCから作品について聞かれた深田監督は「この作品はアイドル業界を批判するために作っているのではなくて、見ている人自身がどう考えるか、そして考えていることが炙り出されていく、そのような映画になっているのではないかと思います」とアピールした。
■齊藤京子がオーディションに来たことは“運命”
さらに、主人公の真衣を演じた齊藤のどんなところに魅力を感じてキャスティングしたのか問われると、「真衣役のキャスティングは難航を極めました。アイドルという特殊な役柄は、単なる演技を超え、アイドルとファンが長年かけて築き上げてきた文化そのものを表現する必要があるため、できればアイドルの方に演じていただきたいと考えていました。そのような状況の中、齊藤さんがオーディションにお越しくださったことは、まさに運命的な出会いでした。いくつか演技を拝見した中でも、特に印象的だったのが裁判所のシーンです。その際の齊藤さんの『まっすぐな目線』と『セリフの強さ』に心を打たれ、この方なら山岡真衣役を完璧に演じきれると確信し、オファーさせていただきました」と絶賛。
齊藤は「アイドルパートはリアリティを追及できるように監督とアイドルについて沢山の対話を重ねて、役作り、作品作りができたと思います」と振り返り、MCより「齊藤さんの歌やダンスは劇中でもたくさん見ることができますか?」と問われると、「できます!」と言い切り会場を沸かせた。
■2015年のアイドルの恋愛を巡る裁判から着想を得た物語
その後昼3時30分からは、公式上映が開始。上映終了後には会場で観客と映画を鑑賞していた深田監督と齊藤が登壇し、大きな歓声で迎えられた。
深田監督は映画の題材について「2015年に実際にあったアイドルの恋愛を巡る裁判から着想を得た。あるアイドルグループの女性がファンと恋愛したことで事務所から訴えられ、その根拠となったのが契約書における恋愛禁止条項違反だった。この実話からインスパイアされ、物語を膨らませていった」と語り、齊藤は「この話を聞いた時、すぐに『絶対やりたい』と思い、オーディションを受けさせていただきました。釜山国際映画祭にこうして立てることは、本当に一生忘れない思い出です」と喜びを語った。
■齊藤京子「アイドルシーンのリアルな描写に共感した」
MCからの質問の後、観客とのQ&Aを実施。「齊藤の役作りとキャラクターの変化」について問われた深田監督は「映画の中で真衣が立つ舞台が変化していくことで、彼女の心理状態を表現している。最初はファンの歓声の中で輝く舞台に立っていたが、やがてファンが消え、弁護士や裁判官だけがいる殺風景な法廷に立つことになる。この舞台の変化を通じて、真衣が何を得たのか、そして何と闘っているのか自ら見つけていく成長が描かれている」と回答した。
齊藤自身は「脚本を読んで物語の面白さに惹かれ、特にアイドルシーンのリアルな描写に共感しました。自身も元アイドルであるため、この役をぜひやりたいと思いました」と役への想いを語った。最後には、会場と一緒にフォトセッションも実施され、大盛況のうちに幕を閉じた。
さらに同作は、10月27日(月)~11月5日(水)にて開催される、第38回東京国際映画祭<ガラ・セレクション部門>に正式出品することが決定した。同部門は、世界の国際映画祭で脚光を浴びた話題作や邦画の最新作などが扱われる部門となっており、「恋愛裁判」としては日本最速上映となる。

