F1アメリカGPでは、戦略の選択肢が限られていたため、オーバーテイクの機会を作り出すのが困難だった。メルセデスのジョージ・ラッセルは、こうした現状に不満を持っているようだ。
ラッセルは決勝レースを4番手からスタートしたが、スタート時に順位を落としたことが響いて6位でフィニッシュ。ほとんどのドライバーがワンストップ戦略を採用したため、ラッセルが戦略的な違いを利用して順位を挽回するのは困難だった。
ポールシッターのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は最終的にレースを支配し優勝。これは決勝レースでの今季13回目のポール・トゥ・ウィンとなる。つまり、ポールシッター以外が決勝レースで勝ったのはわずか6回のみなのだ。
「今のF1はターン1までのレースだ」とラッセルはスカイスポーツF1に語った。
「タイヤのデグラデーションがなく、トップ6の最速マシンと最遅マシンの差はわずか0.3秒しかない」
「通常、オーバーテイクには少なくとも0.5秒の差が必要だ。だからもしターン1を3番手で抜け出せていれば、今日は表彰台に立てただろう。しかし実際には6番手で抜け出し、6位でフィニッシュした」
ラッセルはタイヤの寿命がオーバーテイク不足の主因だと主張。各チームの競争力が拮抗していることにより、さらに深刻化しているのだという。レッドブル、マクラーレン、メルセデス、フェラーリが表彰台を争う中、土曜日のQ3ではトップ6のタイム差はわずか0.5秒だった。
「問題は、タイヤのデグラデーションがないとタイヤ性能差も生まれないことだ」とラッセルは指摘する。
「どのサーキットでもオーバーテイクには少なくとも0.5秒の差が必要だ。だからオーバーテイクが見られない。2ストップ戦略が成立したレースがいつだったかさえ思い出せない」
一方で、ラッセルはタイヤを供給するピレリを批判することには消極的だった。
なおピレリは今回、ハードタイヤとミディアムタイヤの性能差を広げて1ストップ戦略を難しくし、戦略の自由度を上げようと試みたが、各車はタイヤとペースをマネジメントし、ミディアムタイヤとソフトタイヤを使った1ストップ戦略を成立させている。
「ピレリは何をしても批判される」
「タイヤのデグラデーションが激しいと批判され、現実的じゃないと言われる。ドライバーはプッシュできず、マネジメントを強いられる。逆にデグラデーションが全くないと『つまらないレースだ』と文句を言うんだ」
「いずれにせよ彼らに勝利はないんだ。現実的には、全開で攻められるがレース全体はカバーできないタイヤが望ましい」
「もしタイヤを選べるなら、全開で走れるが15周後に急激に性能が落ちる、2~3回のピットストップが必要なタイヤがいい。理想はソフトタイヤが12周、ミディアムが15周、ハードが20周持った後、急激に性能が落ちるパターンだ。だがこれは言うほど簡単ではない」
「ピレリは厳しい批判にさらされているが、彼らは最善を尽くしている。確かに大幅に改良されたタイヤを提供してくれた。このタイヤ自体は非常に良いのだが、レースの面白さを損ねている」
ラッセルは、レギュレーションが変更される今季残り5戦で状況が改善されるとは考えていない。
「現実的に見て、カタールとラスベガスが僕たちにとって最もチャンスのある2戦だが、やはり全ては予選での1周の走りにかかっている」と彼はスカイスポーツに語った。
「本当に速いラップを刻んでフロントロウを獲得できれば、そのポジションをキープできる。そうでなければ、メキシコでも同じ結果になるだろう」

