
9つのアニメーションスタジオが独自の“ビジョン”で物語を描く「スター・ウォーズ:ビジョンズ」Volume3が、10月29日(水)よりディズニープラスにて独占配信を開始する。配信開始に先立ち、シリーズの原点となるVolume1の9作品のあらすじを振り返っていく(※以下、ネタバレを含みます)。
■9つのアニメーションスタジオが独自の物語を制作
「スター・ウォーズ:ビジョンズ」は、ジョージ・ルーカス監督が生み出した人気シリーズ「スター・ウォーズ」シリーズを原作とする、スピンオフ・アニメーション・シリーズ。様々なアニメーションスタジオが、スター・ウォーズの銀河を独自の視点と解釈、すなわち“ビジョン”で描く。
2025年春に日本で開催された、シリーズ最大の祭典「スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025」では、本シリーズを題材にしたブースも登場。世界中のファンから注目が集まっている。
同シリーズ第1弾となるVolume1は、2021年公開。登場した9作品は「The Duel」「タトゥイーン・ラプソディ」「THE TWINS」「村の花嫁」「九人目のジェダイ」「T0-B1」「The Elder」「のらうらロップと緋桜お蝶」「赤霧」。9作品の中には、Volume3で続編が公開される作品も含まれている。
■神風動画制作「The Duel」
「スター・ウォーズ」シリーズの原点とされる、黒澤明監督の作品を思わせる雰囲気を纏った、銀河の外れで起こる“個”の決闘の物語。
編笠を被ったドロイドと共に各地を巡り、シスの暗黒卿と戦いを続ける謎の男・ローニン。しかし彼の携える日本刀型ライトセーバーもまた、刀身にはシスの証である赤い光が宿っていた。彼は世にも珍しい“同朋狩り”。すなわち“シスを殺すシス”なのだ。
ある日ローニンとドロイドは、とある村を訪れる。その村は長期間にわたり、野盗集団による過酷な暴力の犠牲となっていた。
だが、村人達は意を決し少しずつ金を集めて用心棒達を雇い、村を牛耳る野盗集団と戦いを始める。当初は優勢にみえた用心棒達だったが、番傘型の赤いライトセーバーを携えて現れた野盗の女ボスが実はシスで、形勢は逆転してしまう。
一部始終を見ていたローニンは、真っ直ぐシスの元へと向かっていく。
なお同エピソードはVolume3で、CGスタジオANIMAと共同制作となる続編「The Duel: Payback」の制作が予定されている。

■スタジオコロリド制作「タトゥイーン・ラプソディ」
仲間の絆と夢への想い、銀河を熱狂させる“ロック”の物語。「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」から始まる“旧3部作”シリーズの主人公・ルーク・スカイウォーカーの故郷を舞台に繰り広げられる音楽劇となっている。
元ジェダイや廃棄ドロイドなど、訳アリのメンバーが集いアウターリムを転々としながらライブ活動をしていたバンド、“スター・ウェイバー”。バンドリーダーのギーザーはギャング稼業の一族から裏切り者として追われ、ついには凄腕賞金稼ぎボバ・フェットに連れ去られてしまう。
ギーザーの公開処刑が近づく中、バンドメンバーは惑星タトゥイーンの犯罪王ジャバに取引を持ち掛けた。自分たちの命と引き換えに、最期のライブをさせてくれないか、と。

■TRIGGER制作「THE TWINS」
ダークサイドの双子がぶつかり合う”野望”と”希望”の物語。
平和と繁栄が続く共和国から遠く離れた未知の領域で、かつての銀河皇帝が扱った恐るべきダークサイドの力によって生みだされた双子の暗黒卿“Am(アム)”と“Karre(カレ)”は、銀河帝国の残党を率いてシスの復権と新たなる銀河帝国の再建を企んでいた。
強大な力を持つ邪悪な究極兵器も完成。物語は、まさに今、新帝国旗艦“ツインスター・デストロイヤー”起動の最終調整が行われているという瞬間から始まる。
「天元突破グレンラガン」(2007年)や「プロメア」(2019年)を手掛けた今石洋之監督が、ルークとレイア姫と同じように“双子”として生を受けながらも、ダークサイドに生きる戦士たちの運命を描く。

■キネマシトラス制作「村の花嫁」
悲しき決断をした花嫁の運命とジェダイの選択の物語。
オーダー66後、帝国の支配はまだアウターリムの惑星キーリアへは届いていなかった。懐かしい人物(ヴァン)からメッセージを受け取りこの星を訪れた逃亡者エフは、そこで奇妙な結婚式に出くわす。
戦争の呪縛から逃れられない村人たちと抗おうとする若者たち。花嫁ハルに自らの境遇を重ねるエフは、とある行動に打って出る。
なお、Volume3では続編として、引き続きエフを主人公とする作品「彷徨う者たち」が公開される。

■Production I.G制作「九人目のジェダイ」
鍛冶屋の娘カーラが、暗黒面に追われながら“希望”を運ぶ冒険の物語。映画シリーズからはるかな未来、ジェダイやライトセーバーが伝説の存在となった宇宙を舞台とする。
ジェダイ騎士団の復活を計画する辺境伯ジューロから古代の武器ライトセーバーを進呈すると呼びかけられ、7人のジェダイが辺境惑星ヒ・イズランの空中神殿に集まった。
同じ頃、セーバースミスのジーマが、ジューロの命を受けライトセーバーを完成させていた。
だが、シスの復活を目論むジェダイハンターによりジーマは捕らえられてしまう。ライトセーバーを託されたジーマの娘・カーラは、追手から逃れて空中神殿に向かう。
Volume3では同エピソードの続きを描く「The Ninth Jedi: Child of Hope」が登場するほか、2026年には「ビジョンズ」から初めてシリーズ化となるオリジナルアニメーションシリーズ「Star Wars Visions Presents -The Ninth Jedi」の配信も決定している。
■サイエンス SARU制作「T0-B1」
ジェダイを夢見るドロイドの秘められた過去を描いた物語。
ジェダイを夢見る少年型ドロイドのT0-B1(ティーオービーワン)は、唯一の人間であるミタカ博士と暮らしていた。
星に生命を宿らせるという博士の研究をそっちのけで夢ばかりみている彼に、ミタカは試練を与える。それはライトセーバーの核となるカイバークリスタルを見つけだすことだった。
はりきって星中を探し回るT0-B1は、ミタカに禁止されていた地下室に足を踏み入れ、古い宇宙船を発見。この悪意のない行動が、平和だった惑星に悪の手を招くきっかけを作ってしまう。
1960年代の日本アニメーションから大きなインスピレーションを受けて制作された同エピソード。主人公・T0-B1の声優は野沢雅子が務めている。
また、「鉄腕アトム」(1963年)のサウンドを担当していた大野松雄が携わり、日本アニメーション文化と「スター・ウォーズ」、両方の歴史の融合を実現している。

■TRIGGER制作「The Elder」
光か、闇か…ジェダイの絆と運命の闘いを描く物語。
経験豊富なジェダイ・マスターのタジンと若いパダワンのダン。訪れる者も少ない辺境宙域をパトロールしていた2人は、怪しい気配を感じ惑星ハボに降り立つ。
星の住人から数日前に1人の老人が小型のスターシップで飛来したことを聞き、調査を開始する2人。しかし老人が乗って来たスターシップを目にした時、タジンの脳裏に不吉な予感が漂い始める。
「スター・ウォーズ」シリーズならではの師弟関係やライトセーバー戦を中心に描く同エピソード。手掛けたのはTRIGGERの代表取締役でもある大塚雅彦監督で、映画界を志したきっかけに「スター・ウォーズ」シリーズを挙げるほどの大ファンとして知られる。
大塚監督はVolume3では新作「The Smuggler」を手掛けている。

■ジェノスタジオ制作「のらうさロップと緋桜お蝶」
思いがすれ違ってしまっても繋ぎ止めたい“家族”の絆の物語。銀河帝国の強制労働者として捕らえられていた孤児のロップは、ある日辺境の惑星タオに生きる一家の長・弥三郎と、その娘・お蝶と出会う。3人は種族を超えて「家族」となるため日々を穏やかに過ごしてきた。
しかし、帝国に対する考え方の違いから、弥三郎とお蝶は徐々に擦れ違い、ついに弥三郎が独断で帝国基地への爆破テロを強行する事態となってしまう。ロップが2人の仲を取り持とうとする中、突然帝国将校が目の前に立ちはだかる。
シリーズを通して描かれてきた“家族”というテーマを、“思わず抱きしめたくなるキャラクター”というコンセプトで生み出されたキャラクターによって描く。

■サイエンス SARU制作「赤霧」
“赤い霧”が心を惑わす…ジェダイと姫の禁じられた愛の物語。
とある星の危機に導かれるように駆けつけたジェダイのツバキは、敵の襲撃にあい気を失ってしまう。そんな彼を助けたのは、かつて親交があった、惑星の王女・ミサの一行だった。
再会を果たした2人は、王国奪還のため宮殿へ向かうことに。旅路の果てに待ち構えていたのは、兄である国王を殺しシスとなったマサゴ。ツバキは強大な力を誇るマサゴとの戦いのなかで、自分自身の秘めたある想いを利用され、究極の選択を迫られることになる。
ジェダイは特定のものへの執着を禁じられている、という設定を活かした作品。究極の選択を迫られたツバキの葛藤と、王女の禁じられた愛が描かれる。


