東京の秋を彩るアートイベント「アートウィーク東京」が、今年も開催されます。
期間は11月5日(水)から9日(日)まで。都内50を超える美術館やギャラリーが一斉に参加し、最新のアートシーンを身近に感じられる5日間です。
六本木や清澄白河、銀座など、街ごとに特色ある展示が並び、時代を映す作品からAIを使ったデジタルアートまで、多彩な表現が登場します。たとえば、国立新美術館では平成期の日本美術を振り返る企画展が開かれ、東京都現代美術館ではアーティスト・笹本晃さんの回顧展が注目を集めています。
さらに、南青山ではアートと音楽、食が融合した「AWT BAR」が期間限定で登場。著名シェフによる特別メニューや、音と光の演出を取り入れたライブパフォーマンスなど、五感で楽しめる体験も用意されています。
また、近隣の飲食店を紹介する「AWT EATS」も新たにスタートし、アート巡りと食の両方を楽しめるのも魅力です。
東京を舞台に、アートが日常に溶け込むこの一週間。
作品を観るだけでなく、街を歩き、音を聴き、味わいながら感じる――そんな新しいアートの楽しみ方が広がりそうです。
都内50を超える美術館・ギャラリーが参加するアートイベント

「アートウィーク東京」は、都内の美術館やギャラリーが一体となって開催する都市型アートイベントです。
六本木、銀座、清澄白河、初台など、アートスポットとして知られるエリアを中心に、50以上の会場で多彩な展示が同時開催されます。期間中は街全体がアートに包まれ、作品鑑賞だけでなく街歩きのような感覚で楽しめるのが特徴です。
国内外のアーティストによる展覧会のほか、トークイベントや映像プログラムも用意されており、誰でも気軽に現代アートに触れられる機会となっています。特に今年は、海外の有名美術館との共同企画展や、アーティストによる体験型の展示なども予定されており、例年以上に幅広いジャンルの作品が集まります。
アートに詳しくなくても、散歩の途中に立ち寄るような感覚で楽しめるのがこのイベントの魅力です。
会期中には無料シャトルバス「AWT BUS」も運行され、都内の主要会場を効率よく巡ることができます。アートをきっかけに、東京という街そのものを再発見できる一週間になりそうです。
見どころ満載の展覧会ハイライト
アートウィーク東京では、都内各地で個性あふれる展覧会が同時開催されます。
その数はおよそ50か所。現代アートからクラシックな作品まで、分野もテーマも実に多彩です。
ここでは、その中から特に注目を集める2つの展覧会をご紹介します。
人と空間をテーマにした笹本晃の回顧展「ラボラトリー」

清澄白河の東京都現代美術館では、アーティスト・笹本晃による回顧展「笹本晃 ラボラトリー」が開催されます。
笹本さんは、彫刻や装置のようなオブジェを自らの身体を使って動かし、空間の中で即興的なパフォーマンスを行う独自のスタイルで知られています。今回の展覧会は、これまでの約20年にわたる活動を振り返る初のミッドキャリア回顧展です。
展示空間には、彼女がこれまでに制作してきた装置的な作品が並び、まるで実験室のような雰囲気を感じられます。
日常の中にある動作や感情を題材にしながら、私たちが普段意識していない“身体の動き”や“空間との関係”を浮かび上がらせる作品が多いのも特徴です。
ユーモラスさと深い哲学性をあわせ持つ作品群は、見る人に「自分の存在とは何か」を静かに問いかけてきます。
最新作では、動きをともなうキネティックな要素が加わり、映像と空間が呼応するように構成されています。静と動が混ざり合うその世界は、観る人の感覚を刺激し、現代アートの自由さを実感させてくれます。
アートに詳しくなくても、何かを“体で感じる”ような体験ができる展示です。
ソフィア・クレスポ/エンタングルド・アザーズ

銀座のシャネル・ネクサス・ホールでは、AI(人工知能)とアートを融合させたユニークな展示「Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地」が開催されます。
リスボンを拠点に活動するアーティスト、ソフィア・クレスポとエンタングルド・アザーズによる共同プロジェクトで、最新のテクノロジーと自然の美しさを組み合わせた作品が並びます。
映像、彫像、デジタルインスタレーションなど、展示の形はさまざま。
AIが生成するイメージをもとに“生命”を再構築しようとする試みは、科学とアートの境界を軽やかに越えていきます。
鑑賞者は、光と音に包まれるような空間の中で、人工的に生まれた“新しい自然”を体験できます。
また、展示期間中の11月6日には開館時間が夜22時半まで延長され、仕事帰りでも立ち寄りやすいのも魅力です。
テクノロジーがアートの世界をどう変えていくのか――そんな問いに静かに向き合える、未来的で幻想的な展示となっています。
