フォーカルポイントが、ロボット掃除機などで知られるDreameの生ゴミ処理機SF25のクラウドファンディングを行っている。生ゴミを入れてボタンを押すと、数時間後にはフレーク状になっているというアイテムだ。家庭からの生ゴミの排出を大きく減らせるし、庭やプランターで野菜や草花を栽培している人なら、そのフレークを肥料として使うこともできる。価格は5万9800円だが、現在クラウドファンディング中で3万7870円(10月19日現在)で入手可能。また、地方自治体によっては補助金を申請することもできる。クラファンは2025年11月30日まで。
Dreameの生ゴミ処理機SF25(クラウドファンディングサイト)
https://greenfunding.jp/focal/projects/9032
生ゴミ処理の問題を解決するアイテム
生ゴミを処理するのは意外と手間だ。たくさんの生ゴミが発生すると、回収日まで袋に詰めて保存しなければならない。場合によっては悪臭の元になったり、小バエが発生したりする。
地方にお住まいで畑や広い庭があれば、コンポストを使って生物分解することもできるが、実際にやってみるとこれも分解されるまでは時間がかかるし、肥料として使えるようにするのはなかなか難しい。しかし、できれば自宅で処理したい……そういう人にピッタリなのが、このDreameの生ゴミ処理機SF25だ。クラウドファンディングをやっているフォーカルポイントからお借りして、実際に使ってみた。

生ゴミを入れるとブレードで粉砕しながら、熱風で乾燥させるのが基本的な構造。排気は活性炭のフィルターを通るので、外に匂いは出てこない。毎日、発生したゴミを投入して、スイッチを入れて寝れば、翌朝にはフレーク状になっており、このフレークを1週間ほど寝かせると、肥料として使えるというわけだ。
なぜ、ゴミから肥料という『宝』が生まれるのか?
そもそも、植物は、窒素、リン酸、カリウムを栄養源として取り込むのはご存じの通り。もちろん、生ゴミもこれらの成分を含んでいるわけだが、生ゴミそのままの状態では、それらの成分はタンパク質、脂肪、有機酸などのカタチをとっており、植物は吸収できない。分解が起こってアンモニウムイオン(NH₄⁺)や硝酸イオン(NO₃⁻)、リン酸二水素イオン(H₂PO₄⁻)、カリウムイオン(K⁺)などの状態になっていないと吸収できないのだ。
コンポストで堆肥化する場合、微生物がそれを分解するのだが、条件が悪いと腐敗して悪臭が発生したり、メタンや硫化水素が発生(酸素がない状態で、嫌気性バクテリアが活動したりするとこうなる)したり、一部の雑菌や害虫が発生したりする可能性がある。上手く運用できれば堆肥化は可能だが、中の反応の状態をコントロールするのは案外に難しい。開けてみたら、まだ臭い腐敗した生ゴミだった……とういのは、コンポストを運用したことのある人の多くが経験しているはずだ。

では、このSF25ではどういうことになるのか説明しておこう。
まず、加熱粉砕されることで、一部の雑菌や害虫の卵を殺してしまえる。水分がなくなるので、腐敗や異臭の原因となる嫌気性細菌の活動も抑制できる。また加熱によって、タンパク質は熱変性し、分解されやすくなる。そして、生ゴミの表面積が増えることで、微生物によって分解されやすくなるのだ。
続いて、1週間ほど寝かせることによって、空気中に存在する微生物が乾燥粉砕されたゴミに付着、分解、有機物をアミノ酸や有機酸などに低分子化していく。これを土に混ぜて1〜2週間待てば、堆肥化が進み、肥料として使えるようになるというわけだ。
筆者は、熱帯魚を飼っている水槽の排水で、野菜を水耕栽培してみたことがあるが、動物の廃棄物(フンや残餌)は植物の栄養になる。当然の理屈なので、生ゴミが肥料になるのもまた当然だ。前出の水槽と水耕栽培の試みは、野菜の肥料になるほど水が汚れると、熱帯魚が死んでしまうのでなかなか上手くはいかなかったが、サイクルとしてはそういうことだ。
我々の発生させた生ゴミを、化石燃料を使ったトラックで運んで回収し、焼却炉でまた燃料を使って焼いて処分するというのも随分無駄な話だ。家で、『生ゴミ→肥料』のサイクルを回せるなら、それに越したことはない。多少の電気は使うので、完全にエコかどうかは疑問が残るが、サイクルを体感できるというのは興味深い。
