小泉進次郎氏が防衛相に就任した矢先の10月22日、北朝鮮が久々に弾道ミサイルを発射した。首都・平壌に近い地域から、北東方向へ数発。およそ350キロ飛行し、北朝鮮北東部に着弾した。
「日本の領海や排他的経済水域(EEZ)への飛来は確認されていない。また、被害報告などの情報も確認されていない」
高市早苗首相はそう説明したが、北朝鮮によるミサイル発射は今年5月以来5カ月ぶりとあって、様々な憶測が広がっている。
そのひとつに、10月末に米トランプ大統領が参加する予定の、韓国・慶州でのアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議をニラんでのもの、というものがある。実はその際、トランプ氏と金正恩総書記が対面するのではないか、というのである。今回のミサイル発射は、それに向けての、一種の「ラブコール」なのだと…
国際部記者が語る。
「トランプ大統領は8月の米韓首脳会談の際に『年内に金正恩総書記と会いたい』と発言しており、正恩氏も9月の最高人民会議で『(アメリカが)非核化への執念を捨て、現実を認めた上で我々との真の平和共存を望むなら、我々もアメリカと向き合えない理由はない』と前向きな姿勢を見せています。水面下ではシンガポールなど第三国で、早くから米朝による事前の接触が図られていた、という情報がありましたね」
両者の面会が実現すれば、2019年の板門店軍事境界線での歴史的会談から6年ぶりとなる。トランプ大統領には、この機会になんとしても正恩氏と会い、様々な交渉を一歩でも前に進めたい理由があった。
「ズバリ、それが依然として進まないウクライナ問題の苛立ちによるものだといわれています。トランプ大統領には、ウクライナ戦争とガザ1次停戦交渉とをまとめて終わらせる、という構想があった。ところが『2週間以内に開く』としていたプーチン大統領との会談が見送られそうな雲行きの中、ガザ地区でもネタニヤフ首相による軍事作戦の再開が、いまだ懸念されています。トランプ大統領としては、なんとかAPEC後に正恩氏との会談を実現させ、新たな突破口を開きたいという思惑がある。一部報道ではAPEC開催期間中(10月末~11月初旬)、板門店への見学ツアーを中止させたことで、会談場所は板門店北側地域との情報があるようです」(前出・国際部記者)
両者の会談が実現すれば、9月に中国・北京で行われた「戦勝80周年記念パレード」における金正恩、習近平、プーチンという独裁者3人そろい踏み以降、久々の歴史的ツーショットとなる。
最高人民会議で「個人的にはアメリカ大統領のトランプ氏に対する、いい思い出を持っている」と語った金正恩総書記。会談は実現するのか、そしてトランプ氏はこのしたたかな男に対し、どんなディールで臨もうというのか…。
(灯倫太郎)

