
雨清水タエ役を演じる北川景子さん(2018年12月、時事)
【画像】え…っ! 北川景子級? コチラが「松江藩随一の美女」と言われた「タエのモデル」人物の娘、実際の「小泉セツ」さんです
タエ様の今後の人生は
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。
第4週目では、松野家を出奔した夫「銀二郎(演:寛一郎)」を連れ戻しに、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」が東京へやってきました。トキは銀二郎から松江に戻らず、一緒に東京で暮らそうと言われ、葛藤しています。
第19話では松江にいるトキの養祖父「勘右衛門(演:小日向文世)」が、トキの実母である親戚の「雨清水タエ(演:北川景子)」に、彼女が東京から戻ってこないかもしれないことを報告していました。その際、15話で夫の「傳(演:堤真一)」を亡くしたタエは、松江を去ることを話しています。
松江藩の名家の生まれで家事の経験もなかったタエに対し、視聴者からは「お姫様に仕事とかできないだろうし大丈夫か」「松江離れて生きていけるのかな」といった、心配の声も出ていました。今後、彼女はどうなるのでしょうか。
※ここから先の記事では『ばけばけ』のネタバレにつながる情報に触れています。
トキのモデル、小泉セツさんの実母・小泉チエさんは、1837年3月に松江藩家老の塩見家の娘として生まれました。彼女は武家の子女として高い教養を身に着けていましたが、いわゆる「お姫様育ち」をしたため、やはり生活能力は低かったようです。
チエさんは14歳で小泉湊さんのもとに嫁ぎ、11人の子供をもうけました(養子に出したセツさんは6人目)。明治維新後に夫の湊さんが始めた機織りの会社も成功し、長年何不自由なく暮らしていたチエさんでしたが、1886年以降、会社の業績が傾き、次男が若くして亡くなり、長男が出奔、湊さんもリウマチを患って1887年にこの世を去るなど、立て続けに不幸に見舞われます。
『ばけばけ』では19話の時点でタエはまだ雨清水家の屋敷に住んでいましたが、実際の小泉家は湊さんが存命中に屋敷を引き払い、かつて家来たちが住んでいた長屋や、親戚縁者の家に身を寄せることになったそうです。チエさんの実家の塩見家や、そのほかの親戚の旧士族も軒並み没落していたため、頼るあてもありませんでした。
そして、武家の娘としての気位も高かったチエさんは、家財を売り払ったのちは働くことはなく、最終的には物乞いをするようになったそうです。
しかし、セツさんが松江の尋常中学校の英語教師をしていたラフカディオ・ハーンさんのもとで女中として働くようになり、その後に夫婦となると状況は変わります。当時、ハーンさんが教師として貰っていた年100円の給与は、県知事に次ぐ高給でした。セツさんはチエさんに仕送りをするようになり、彼女の生活は安定します。チエさんは晩年大阪に移り住み、1912年1月に74歳で亡くなりました。
タエが松江を離れてどこに行くのか不明ですが、生計を立てられる可能性は低いでしょう。彼女も物乞いになってしまうのか、今後が気になります。
※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)
