先月末、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権に参戦中のトヨタ育成ドライバー、中村仁が来季はFIA F3にステップアップすることが発表された。チームはハイテックTGR。TOYOTA GAZOO Racingの名が冠されたチームで欧州2年目を戦うことになる。
そもそも、“ハイテックTGR”とは何なのか? ハイテックとTGRはどういった協力関係にあるのか? その辺りは非常に気になるところだ。
まず昨年末に配信された2025年TGR参戦体制のリリースでは、宮田莉朋のFIA F2継続参戦の発表とあわせて、「HitechとTGRは、育成カテゴリーにおいて協力し、Hitech TGRとして、宮田の活動をサポートします」と記されていた。この点がまず引っかかる。宮田の今季所属チームはARTグランプリであり、ハイテックではないからだ。
加地雅哉TGRグローバルモータースポーツディレクターは今年8月にmotorsport.comの取材に対し、ハイテックは宮田の語学の勉強や、フィジカル・メンタルのトレーニングなど、イギリスでの生活全般をサポートしていると説明していた。そういった手厚いサポート体制を考えれば尚更、別チームに所属しているのは気になるところだが、これは宮田が何らかの理由で今季のハイテックのシートを確保できなかっただけであると考えられる。
先日のスーパーフォーミュラ富士戦の現場で、ハイテックとTGRの協力関係について改めて加地ディレクターに尋ねた。
「ハイテックさんに、私たちのドライバーがF2やF3でレースをするシートをいただいて、我々の若いドライバーの育成に協力していただいているということに尽きます。それ以上でもそれ以下でもありません」
そう語った加地ディレクター。昨年からハースF1チームとの提携をスタートし、今後F1への関与を強めていくのではとの噂が絶えないトヨタだけに、“ハイテックTGR”という名前が先行して「今後トヨタ系のジュニアチーム化するのでは」などと邪推してしまいそうになるが、そういったことは一切ないのだという。
現に今も、ハイテックTGRには様々なF1チーム・メーカーの育成ドライバーが所属している。F2チームはウイリアムズ育成のルーク・ブラウニングとフェラーリ育成のディノ・ベガノビッチのコンビであり、F3ではマクラーレンのマルティニウス・ステンショーンが走っている。こういった形は今後も変わらないようだ。
もうひとつ気になるのが、2026年シーズンに宮田がハイテックTGRに移籍して3年目のF2シーズンを戦うのかどうか。今季はエンジントラブルやストレートスピードの不足に度々悩まされ、スパではフィーチャーレースで2位に入ったものの、ランキング16番手となっている。
宮田本人も8月のハンガリー戦を終えた後、「今シーズンももう10大会が終わりましたが、半分以上でエンジントラブルに見舞われており、正直フルパフォーマンスで走れたのは先週末のスパくらいなのではと感じるくらい、不完全燃焼なシーズンとなっています」と苦しい胸の内を吐露。2023年にスーパーフォーミュラとスーパーGT(GT500)で国内2冠を手にした宮田のF1へのチャレンジは、来季も続いていくのだろうか?
これについて加地ディレクターは明言を避けながらも、次のように述べた。
「ちゃんと力を発揮できる、ということが大前提だと思います」
「ですから、パフォーマンス以外にも、しっかり結果を出していくことがやはり大事になってきます。中途半端が一番良くないかなと僕は思っていますので、彼が全力でやりきれるようにサポートしたいと思っています」

