
特筆すべきはチーム全体で発揮された高強度の守備。したたかな試合運びに、アーセナルの成熟が感じられた【現地発】
圧巻のパフォーマンスだった。
アーセナルは、現地10月21日に行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)のリーグフェーズ第3節でアトレティコ・マドリーと対戦し、4-0で圧勝した。
アーセナルは試合を0-0で折り返したが、ハーフタイム後の57分にガブリエウ・マガリャンイスが得意のセットプレーから先制。ここから猛攻撃を仕掛け、ガブリエウ・マルチネッリが1ゴール、ヴィクトル・ヨケレスが2ゴールを挙げる。先制点から4点目まで、時間にして13分間。効率的に得点を重ねる圧倒的な力を見せつけ、敵将ディエゴ・シメオネも「今季対戦したチームで最も強いチームだった」と舌を巻いた。
まず際立ったのは、アーセナルの強固な守備である。
前半にGKダビド・ラヤの判断ミスからピンチを招いた場面があったが、それ以外はしっかりと守り、公式戦12試合中9試合目のクリーンシートを達成した。今季のアーセナルには隙がなく、どんな相手にも安定した守備を見せている。改めて、その完成度の高さを印象づける試合となった。
ガブリエウとウィリアム・サリバのCBコンビの出来もさることながら、特筆すべきはチーム全体で発揮された「高強度の守備」だった。
CFのヨケレスが積極的にプレスをかけて相手のパスミスを誘えば、デクラン・ライス、エベレチ・エゼ、マルティン・スビメンディが強度の高いプレッシングで敵の攻撃を潰した。そしてボールを奪えば、素早くカウンターを仕掛ける。非ボール保持時の連係が見事にかみ合い、一連の守備が非常に洗練されていた。しかも相手はしぶとさが売りのA・マドリー。相手の長所を封じるしたたかな試合運びに、アーセナルの成熟が感じられた。
実際、CL第3節まで連続無失点だ。プレミアリーグでも8節までわずか3失点だ。
プレミアリーグにおいては1試合平均失点が0.38点で、これは堅牢な守備を誇った2004-05シーズンのチェルシー(0.39点)をわずかに上回るペースである。当時ジョゼ・モウリーニョが率いたチェルシーは、38試合で15失点という驚異的な数字を残したが、アーセナルも今季、堅守をベースに白星を積み重ねている。リーグ戦8節で3失点という数字は、138年のアーセナルのクラブ史を振り返っても最少記録である。
また、ストライカーのヨケレスが2ゴールを奪った意義も大きい。
スウェーデン代表FWは開幕から4節まで3ゴールを挙げたものの、その後は公式戦7試合連続で無得点。スウェーデン代表の試合も合わせると9試合でノーゴールという苦しい時期を過ごしていた。当然のように、英メディアはヨケレスの実力に疑問符を付け始めていたが、今回の2ゴールで評価が回復した格好だ。
どちらの得点もゴール前での冷静なフィニッシュから生まれたが、ヨケレスにとっては、今後に向けて自信を取り戻す大きな一歩になった。実際、英スポーツサイトの『ジ・アスレティック』は「苦しい時期を乗り越え、今回の2ゴールで少しばかり安堵できるはずだ」と報じている。
試合後にミケル・アルテタ監督は、ヨケレスのゴールを「喜ばしい」と語りながらも、得点以外の貢献にも触れた。
「ヴィクトルの活躍を心から嬉しく思う。チームへの仕事量を考えれば、彼はゴールにふさわしいプレーをしてきた。 ここ数週間はゴール以外でのところでもチームを助けてくれた。フィジカルが強く、誰にでもスペースを作ってくれる。ボールへのプレスやキープの仕方は、まさに驚異的だ。全員が感謝している。彼のおかげでチームは格段に良くなった。
彼を獲得したのは得点のためであり、彼自身への期待も高い。しかしチームのために献身的に戦う姿勢を高く評価している。これが大活躍の始まりであることを願っている」
英紙『デーリー・テレグラフ』は「ディエゴ・シメオネ率いる難敵のA・マドリーを叩きのめした。昨シーズンは欧州CLで4強。今シーズンはCLの優勝候補だ。欧州中に響き渡るパフォーマンスだった」と高く評価。英紙『インディペンデント』はヨケレスに注目し、「彼の場合はいかに美しくゴールを決めるかではなく、どれだけ多くゴールを決めるかが大事。最低でも20ゴール、うまくいけば30ゴールを挙げられるか。その意味でも、強豪A・マドリーに2点を挙げたのは大きな前進だ」と評した。
試合後、GKのラヤは選手層に触れ「今季はチームの選手層が信じられないほど厚い。真摯に練習に取り組まなければ、ほんの一瞬でポジションを奪われてしまう。練習でも試合でもそれがさらなるレベルアップにつながっている。そして競争心も芽生える。チームにとってこれは本当に重要なこと」と話していた。
ベンチメンバーを含めたスカッドでは「クラブ史上最高」と評される今季のアーセナル。果たしてプレミアリーグとチャンピオンズリーグの両舞台でどこまで躍進できるか。
取材・文●田嶋コウスケ
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