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〈モームリに弁護士法違反容疑〉「弁護士が大丈夫だと思ってやってるんだから大丈夫でしょって…」元従業員が語る実態と「それはムリ」と言えなかったキックバック

〈モームリに弁護士法違反容疑〉「弁護士が大丈夫だと思ってやってるんだから大丈夫でしょって…」元従業員が語る実態と「それはムリ」と言えなかったキックバック

弁護士法違反容疑で警視庁が家宅捜査に入った退職代行サービス「モームリ」(運営会社は株式会社アルバトロス)。『令和退職歌~モームリ~』なる歌を爆音で流しながらアドトラックを都内を走らせるなど、その集客法はとにかくド派手だった。だが、現役弁護士らは「弁護士法に抵触してないか?」「いつか捕まるのでは…」と不安視していたという。

以前から疑問視されていた「モームリ」の代行業務

日本初の退職代行会社は2017年に誕生した「EXIT」だったが、2022年に株式会社アルバトロスが「モームリ」のサービスを開始した。

以降、アドトラックを都内に走らせたり、YouTubeで実際の退職代行現場を映した動画がバズったりするなど、「モームリ」が目立ち始める。

「モームリ」はメディア出演にも力を入れていた。テレビだけでなくニュースサイトなどの取材にも積極的に応じ、今年1月に行なった集英社オンラインの取材に対しては広報担当者が「若手の早期退社」に対してこのようなコメントをしていた。

「キャリアのスタート地点にいる若手にとって、『やめたいのにやめられない』という状況が長引くことは、大きなタイムロスであり、貴重な成長機会を逃す要因にもなり得ます。そうしたケースにおいて、第三者を介したスムーズな退職は、本人にとっての前向きな一歩であると同時に、結果的に雇用の流動性や人材の最適配置を促進する効果もあると考えています」

このコメントの中にある「第三者を介したスムーズな退職」がポイントだ。今回の弁護士法違反容疑は、ここで弁護士を介したり、または紹介したり、さらには弁護士からのキックバックをもらったりしたことなどが非弁行為に当たるとして、弁護士法違反容疑で警視庁の捜査を受けるに及んだのだ。

「弁護士が大丈夫だと思ってやってるんだから大丈夫でしょ」

アルバトロス社の「モームリ」で働いていた元従業員は「会社として非弁行為に当たらないようにという意識はしっかり持っていた」としながらも、このように述べた。

「雇用主による給料未払いや残業代の請求といった話などになる場合は、退職希望雇用者と雇用主で書面のやり取りをしてもらっていました。私どもは『それでも解決しなければ雇用主を訴訟することは可能』とお伝えし、退職希望者ご自身で専門機関や弁護士をご用意していただく話をしていました。

その際にモームリが提携する弁護士事務所が当時2社あったので、その2社のどちらかを紹介することもありました。この件に関して『非弁行為じゃないの?』などの声もあったりして、もしかして違法なのか?と思うこともありました。

ですが会社での会議のときに谷本社長から『非弁行為じゃない。安心してね』と言われていましたので、それを信じていました。ただ、一方で『弁護士が大丈夫だと思ってやってるんだから大丈夫でしょ』と軽く考えていたような部分も会社から感じられました」

非弁行為に当たらないよう意識をしていたと言いつつも、実際には、退職希望者に弁護士を紹介するという行為自体に、違反行為にあたる危険性が孕んでいた。従業員たちもこれを理解しておらず、社長の説明を信じてしまったようだ。

ヤメ検として、警察が目を光らせ捜査のメスを入れようとするケースに詳しいレイ法律事務所の西山晴基弁護士は、まさに「モームリ」の代行業務を「弁護士法に抵触してないのだろうか…?」と以前から疑問視していた。

「退職代行を民間業者が行なう場合、そのサービス内容が退職希望者の意思を会社に伝えることのみだけであれば問題ありませんでした。それで退職できる場合もあるでしょうから。

ですが、すんなりと退職に至らないことも想定されるわけで、弁護士資格を持たないモームリが、どこまで対応してよいかが曖昧になり、弁護士法に抵触する対応に及んでしまうというリスクを元々孕んでいたわけですよね。

退職する際の条件などについて話し合いが必要になってしまった場合に、弁護士資格を持たないモームリが、話し合いを仲介することは違法になります。また、報酬を得る目的で、弁護士資格を持たないモームリが弁護士に退職希望者を紹介することも、違法になります 」

西山弁護士は「モームリが弁護士法人であればよいが、そうではないのに法的な権利関係に関する交渉に踏み入れてしまう可能性が高いサービスを展開していた点で問題があった」と説明する。

報道にあるように、モームリは複数の弁護士事務所と「提携」または「紹介」といった名目で、退職希望者を弁護士に繋げる形で退職の代行を行なっていた。

「弁護士資格がない者が集客し、不正確な情報による依頼を招くなどして、結果的に顧客の利益を害する恐れがあることが問題です。弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)は、「弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で…法律事務の周旋をすることを業とすることができない」としており、刑事処罰の対象にしています。

また、そうした業者から紹介を受ける弁護士側も、刑事処罰の対象とされています。弁護士法第27条(非弁護士との提携の禁止)は、弁護士は、非弁護士から『事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない』としており、弁護士側も、弁護士資格を持たない業者から顧客のあっせんを受けたり、同業者による集客のために名前を貸したりしてはいけないとされているのです」

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