ノルディック複合の渡部暁斗が、10月23日に自身のインスタグラムを更新。今季限りでの引退を報告し、残り現役生活への決意を表した。
渡部は「本日、今シーズン限りで現役を引退することを正式に発表いたしました」と切り出し、合計754文字の長文を綴った(以下全文)。
「スキーを履き始めてからこれまで支えてくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。古典『徒然草』には、『花は盛りを、月は隈なくのみ見るものかは』という一節があります。桜は満開の時だけを、月は満ちた姿だけを楽しむものではなく、芽吹きから散り際まで、満ち欠けのすべてを通してこそ、その本当の美しさや趣が感じられるという意味の言葉です」
「私も長い競技人生を通して、様々な出来事と共に日々変化していく自分と向き合い、数えきれないほどの感情と出会ってきました。そのすべてを味わい尽くしたと、今は心から思えます。だからこそ、『引退』という決断に自然と心が向いたのだと思います」
「終わりを決めたとはいえ、散り際の最後の花びらが散るのをただ静かに待つつもりはありません。ミラノ・コルティナ五輪の舞台はワールドカップで初優勝した始まりの地。2月のイタリアで、季節外れの満開の桜を咲かせて終わりたいと思っています」
「全盛期を過ぎたアスリートが、競技人生最高のパフォーマンスを最後のシーズンに発揮する、そんなことは夢物語のように聞こえるかもしれませんが、だからこそ挑戦する価値があると思います。そして、もしその奇跡的な瞬間を応援してくださる皆様と共有できるなら、それは何よりの喜びです」
「春にその決意を固めてからは、1日1日を大切にしながら、これまで以上の集中力をもって、今シーズンに向けて準備を重ねてきました。過去にとらわれるでもなく、遠い未来を思い描くでもなく、ただ“今”と真剣に向き合うその時間はとても充実した日々となりました。今はこれから始まろうとしている冬が、心から楽しみです。決して楽な道のりではありませんが、奇跡を信じて最後まで戦い抜きます 渡部暁斗」
2014年のソチ五輪と続く18年の平昌五輪では個人ノーマルヒルで銀メダル、22年の北京五輪では個人ラージヒルとラージヒル団体で銅メダルを、それぞれ獲得してきた。37歳の鉄人が、強い覚悟を持って来年2月のミラノ・コルティナ五輪に挑む。
構成●THE DIGEST編集部
【画像】圧巻の演技でSP、FSともに首位。世界女王アリサ・リウのエキシビジョンでの演技を特集!【世界フィギュア国別対抗戦】
【画像】幼少期のショットも! 渡部暁斗が綴った754文字の長文メッセージ
【画像】リンクに咲く美しきなでしこ!本田真凜の可憐な厳選フォトを一挙公開!

