市場トレンドが大学生野手だった2025年のドラフト。その一方で、編成事情に応じて投手を重視するチームも目立った。支配下指名が編成上の課題に対して妥当な補強ポイントだったか?を基準に採点した。
■ヤクルト
点数: 79
野手は松下歩叶(法政大)の単独1位指名に成功。村上宗隆の後釜としてサードを任せるには申し分ない人選だ。松川玲央(城西大)のようなポテンシャルの高いタイプを抑えつつ、即戦力度の高い石井巧(NTT東日本)も指名してバランスも良好。投手も山崎太陽(創価大)や鈴木蓮吾(東海大甲府)のようなロマン型と、実戦派の増居翔太(トヨタ自動車)や飯田琉斗(ENEOS)などバラエティに富む顔ぶれ。最下位に沈んだ今季から短期間での再建を目指す姿勢を明確にした。
■ロッテ
点数: 78
過去数年のドラフトにおいて上位で野手を確保した影響か、投手に重きを置いた指名。高校生No.1投手の石垣元気(健大高崎)を中心に、毛利海大(明治大)、冨士隼斗(日本通運)、田中大聖(Honda鈴鹿)と経験豊富な投手を複数抑えるバランス良い顔ぶれとなった。野手も高校生No.1打者の櫻井ユウヤ(昌平)を指名。打撃の完成度は高く、守備位置さえ定まれば一軍に顔を出す日も遠くはない。野手が豊富な年に投手を整備する方針が、将来に結びつくことを願いたい。
■広島
点数: 92
野手は再入札で平川蓮(仙台大)を指名。まだまだ完成形の見えない両打ちのロマン砲は、慢性的な得点力不足に陥るチームの将来を託すに十分な素材だ。その上で、野球脳に秀でる勝田成(近畿大)に大型内野手の西川篤夢(神村学園高伊賀)と即戦力度と将来性のバランスも申し分ない。投手も齊藤汰直(亜細亜大)と高木快大(中京大)を中心に将来の先発候補を複数指名。投手育成の実績が増え始めたチームにはうってつけの素材が揃ったと言えよう。■西武
点数: 76
野手は公言通り1位で小島大河(明治大)と、3位では秋山俊(中京大)を指名。両者とも守備位置を定める必要はあるが打撃技術は申し分なく、打線が小粒なチームにフィットするだろう。その上で横田蒼和(山村学園)も指名して将来性も確保。高校生随一の打撃スキルと高いキャプテンシーは、チームの未来を背負うに相応しい。投手は岩城颯空(中央大)と堀越啓太(東北福祉大)とスケールの大きなタイプを指名。投手の柱が流出しかねないチームにインパクトを与えられるか注目だ。
■中日
点数: 70
投手は中西聖輝(青山学院大)と櫻井頼之介(東北福祉大)を指名。高齢化やメジャー流出による投手層の空洞化を危惧した補強と言える。両者とも技術面での平均点が高いため、プロでの活躍水準にいち早く辿り着けるかがカギとなるだろう。野手は能戸輝夢(明秀日立)、新保茉良(東北福祉大)、花田旭(東洋大)と守備位置こそ流動的だが体格に優れ、パワーの伸びしろのある選手を指名。本拠地バンテリンドームのホームランウイング新設を意識した格好だ。
■楽天
点数: 83
投手は球威が魅力な藤原聡大(花園大)と総合力の高い伊藤樹(早稲田大)を指名。今シーズンチーム指標が12球団ワーストだった投手陣にテコ入れする意図が窺える。都市対抗野球で橋戸賞を獲得した九谷瑠(王子)含め、即戦力性を発揮できるか注目したい。野手は繁永晟(中央大)に阪上翔也(近畿大)と、左右の中距離ヒッターを指名。宗山塁を中心としたセンターラインの将来が見えてきた今、打撃型選手の確保は理に適っている。
■巨人
点数: 71
投手は公言通り竹丸和幸(鷺宮製作所)を指名。即戦力度で今年の市場No.1の投手を確保できたのは大きい。田和廉(早稲田大)や山城京平(亜細亜大)も特徴あるボールに威力もあり、既存戦力と区別できる。野手は岡本和真の流出が決定的な現状に対し、皆川岳飛(中央大)、小濱佑斗(沖縄電力)、藤井健翔(浦和学院)とバラエティに富む顔ぶれ。攻撃の即戦力性は外部補強に託しつつ、既存戦力の手薄な点を補強した格好だ。
■オリックス
点数: 72
投手は再入札で藤川敦也(延岡学園)、以降で森陽樹(大阪桐蔭)、佐藤龍月(健大高崎)と高校生を立て続けに指名。今シーズンさまざまな投手指標でリーグトップ3に入る現状に甘んじず、将来性を優先した。野手でも窪田洋祐(札幌日大)、野上士耀(明秀日立)と攻守にスケール感のある高校生を指名。チーム打撃指標はほぼ平均並みだが、次世代を担う野手を補うべく、ここでも将来性を優先した。石川ケニー(ジョージア大)が入団すれば、即戦力性とのバランスも取れることだろう。
■DeNA
点数: 86
佐々木麟太郎(スタンフォード大)は逃したが、再入札で小田康一郎(青山学院大)を指名。卓越した打撃スキルと守備での献身性は、チームの次世代を担うに申し分ない。その上でパワーのある宮下朝陽(東洋大)と、平均点型の成瀬脩人(NTT西日本)を獲得。既存戦力に刺激を与えることだろう。投手はパワーのある島田舜也(東洋大)に、経験豊富な片山皓心(Honda)を指名。近年戦力化に成功した竹田祐や石田裕太郎とは異なる個性を持つ両者が、即戦力性を発揮できるか注目したい。
■日本ハム
点数: 81
投手は再々入札で大川慈英(明治大)を指名。異次元なホップのストレートを武器にリリーフとして活躍するが、多投しない変化球の精度も高い。昨年が投手重視ドラフトであったことを脇に置けば、突き抜けた先発投手の可能性を秘めた逸材を評価したと言える。野手はパワーが特長のエドポロ・ケイン(大阪学院大)に守備職人の大塚瑠晏(東海大)を指名。どちらも即戦力性と伸びしろを兼ね備える。打撃に特徴のある半田南十(日大藤沢)や藤森海斗(明徳義塾)の将来性も注目だ。
■阪神
点数: 88
野手は今年の目玉である立石正広(創価大)を引き当てることに成功。「右の佐藤輝明」とも評される突き抜けたパワーと俊敏性は、近い将来、海外流出の恐れがあるスラッガーの正統後継者だ。2位では谷端将伍(日本大)、3位では岡城快生(筑波大)を指名。市場トレンドである大学生野手を補強ポイントに沿って抑えた人選だ。投手はポテンシャル型の早瀬朔(神村学園)に経験豊富な能登嵩都(オイシックス新潟)を指名。編成上のバランスに優れつつ、将来性を高めたと言えるだろう。
■ソフトバンク
点数: 91
野手は佐々木麟太郎(スタンフォード大)を引き当てることに成功。本人が過酷な文武両道を吐露し、現在の打撃成績は目を引かない。それでも捉えた打球の強さや献身的な守備姿勢は高校時代から変わらず、成長もしている。入団すれば大きな戦力となるはずだ。高橋隆慶(JR東日本)は社会人野球で活躍しながらも未完の大器で将来性が高い。投手の稲川竜汰(九州共立大)、鈴木豪太(大阪商業大)、相良雅斗(岐阜協立大)と異なる個性の準即戦力指名は理想的だ。
文●ARA
【著者プロフィール】
Twitterでドラフトイベント「VD4B」「ヨソドラ」を主催。雑誌/野球太郎のモックドラフト立案者。主に打撃を得意分野とし、中学生を中心とした野球指導にも携わる。ツイッターIDは@arai_san_28。]
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