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「海外に来て一喜一憂するのは良くない」オランダで評価急上昇の日本代表CBが漂わせる“選手として人としての品格”。「見られ方が変わりました」【現地発】

「海外に来て一喜一憂するのは良くない」オランダで評価急上昇の日本代表CBが漂わせる“選手として人としての品格”。「見られ方が変わりました」【現地発】


 日本代表DF渡辺剛(フェイエノールト)は10月の国際マッチウィーク明け初戦となるヘラクレス戦(オランダリーグ)を負傷で休んだものの、23日のパナシナイコス戦(EL)の65分からクローザーとしてピッチに入り、3-1の勝利に貢献した。

「センターバックが試合の途中から難しいですが、うまく入れたと思います」

 アディショナルタイムを含めて30分間プレーしたことで、3日後に予定されるPSVアイントホーフェンとの首位攻防戦で先発する見通しが立った。

 エースストライカーの上田綺世は9試合11ゴールで得点王争いを独走するうえ、日本がブラジル相手に金星を挙げた試合でゴールを決めたこともあり、今、オランダで話題の人だ。しかしフェイエノールトは9節を終えた時点で失点数が6という、オランダリーグ屈指の強固な守備を誇るチームでもある。渡辺とアネル・アフメドホジッチのCBコンビは昨夏の補強の大ヒットだ。フェネルバフチェのジョセ・モウリーニョ監督(当時)はCL予選3回戦第1レグで、フェイエノールトに敗れたあと、こう言って唸っていた。

「フェイエノールトは素晴らしいチームだった。彼らのスカウトは無名の選手を探してくる。“日本人の選手”は私も聞いたことがなかった」

 結局、フェイエノールトはホームでの2-1の勝利を守り切れず、アウェーで2-5と大敗したことでELを戦うことになった。それでも第1レグで名将を唸らせた渡辺は敵地で2ゴールを決めるなど獅子奮迅の働き。その後のリーグ戦での安定ぶりは専門誌「フットボール・インターナショナル」の採点ランキングの1位ということで証明されている(上田は3位)
 
「綺世も自分も、オランダ・ビッグクラブのフェイエノールトでしっかり活躍できている。日本人選手のレベルが上がり、オランダの他チームでも日本人が活躍しています。自分自身の見られ方が変わり、求められていることが増えているのもそう(=日本人選手レベル向上)。(コルトレイク、ヘントでの)これまではチャレンジャーといった立場でしたが、今は『失点しないのが当たり前』という見られ方になってきました。それがビッグクラブでプレーするということ。ヘントの時とは違う刺激です」

 堅守のフェイエノールトだが、対戦相手によっては「フェイエノールト攻略のレシピ」のようなものを見つけている。サイドからのカットイン。前線に楔を入れてからMFが遠くからシュートを打つ――。フェイエノールトのCB陣を迂回する、そんな攻撃だ。

「そうですね。オランダリーグでもCBのところを突かれてやられるシーンはほとんどありません。AZ戦(3-3の引き分け)では左右のサイドバックに2点決められました。自分がコーチングして防げるのか、チームとして防がないといけないのか。そこは難しいところですよね。まずはチームとして組織して守るということ、そして自分のところでやられないことが大事だと思います」
 フェイエノールト在籍3季目にして殻を破った感のある上田について、ロビン・ファン・ペルシ監督は以前、「ワタが来てから上田の表情が明るくなった。食事は一緒だし、ふたりで喋ってるし笑ってるし、(思い出し笑いをしながら)ふたりでショッピングしているし」と愉快そうに語った。

 最近、上田はクラブの9月月間MVP受賞インタビューで「2歳年上の剛くんが、食事をおごってくれるだけでなく、駐車場代まで払ってくれるんです」とふたりの仲を明かしていた。上田好調の背景に、渡辺の存在があることは、オランダ人に知れ渡っている。

 そんな渡辺の人となりについて、私にはふたつ、忘れられないエピソードがある。ひとつ目は、彼との初対面になったコルトレイク時代の22年11月。ヘント相手に0-4の完敗を喫する辛い結果の直後だったが、丁寧に取材に応じてくれた彼は最後、「(田中)聡(現広島)もいい選手なので、ぜひ彼にもインタビューして話を聞いてあげてください」と、当時20歳の若者をおもんぱかった。

 ふたつ目はヘント時代の昨季終盤。アントワープ相手に渡辺が身体を張りまくって猛攻を防ぎ、1-0 で勝ち切った試合直後、私はヘントの広報に「剛をお願い!」と試合後インタビューをリクエストした。しかし、渡辺は伊藤敦樹を伴って更衣室からミックスゾーンに出てきた。この時点で私はピンと来たのだが、半年後の今回、その答え合わせをすることにした。
 
――実はアントワープ戦後、私は広報に「剛を呼んでください」とリクエストしたんです。しかし渡辺選手は伊藤選手と一緒に来てくれました。それって、もしかしたら?

「ただ、敦樹を呼んで『一緒に行こう』と」

――やっぱりそうですよね。渡辺選手はコルトレイク時代にも「聡はいい選手なんで、ぜひ話を聞いてあげてください」とおっしゃってくれました。

「海外でプレーするのが難しいのは間違いない。綺世にも苦しいシーズンがあった。ヘントにも日本人(シュミット・ダニエル=現名古屋、横田大祐=現ハノーファー、伊藤)がいました。お互いにコミュニケーションを取って刺激を与え合い、腐ることなく互いを高める関係は、代表にとってもチームにとっても大事なことです」

――苦しんだり干されたりした選手もいます。

「はい、そういうのを見てきました。試合に出る・出ないは結局、監督のところなので、自分たちがやれることをやるしかない。海外に来て一喜一憂するのは、自分にとって良くないこと。やれることをやるしかない。それを高め合える選手が近くにいるということは素晴らしい環境だと思う。綺世は今、好調です。負けないように自分もやらないといけない」
 仲間たちをさりげなく支えることのできる渡辺だが、本人もコルトレイクに移籍した22年1月から半年、試合に出たり出なかったり、メンバーにすら入れなかったり、という辛い思いをした時期があった。当時、渡辺にとって支えになった人は誰なのか? 

「自分は...、自分自身です。僕は半年干されたくらいで(くじけるような)、そんな覚悟で海外に来てない。だからなんとも思ってなかった。『やることをやらないといけない』という意識でしたね。だから落ち込むこともなかったし、『これは必要な時間だ』と思ってました」

「必要な時間」をコルトレイクで過ごし、ヘントで「ベルギーナンバーワンDF」(当時のワウト・フランケン監督、現STVV監督)となり、フェイエノールトでも同胞チームメイトの兄貴分を務める渡辺には、選手として人として品格というものを感じる。
 
 驚くことなかれ、28歳にして渡辺の日本代表キャップはまだ7回。そんな彼が10月シリーズでパラグアイ、ブラジル相手に高パフォーマンスを発揮し、このまま代表定着と行きそうだ。

 そして思う。中堅・渡辺の急激なヒエラルキー上昇、新鋭・鈴木淳之介(コペンハーゲン)の台頭、ベテラン・谷口彰悟(STVV)の大復活という、異なる3世代で初めて組んだブラジル戦のCBトリオは、日本躍進のユニークな象徴なのではないか、と。

取材・文●中田 徹
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配信元: SOCCER DIGEST Web

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