埼玉県川口市といえば、クルド人による犯罪行為やマナー違反がクローズアップされているが、より深刻な「土地問題」が進行しているという。
西川口駅近くで飲食店を経営する日本人男性(50代)は言う。
「このあたりは20年近く前から中国人が急増し、駅前には中国語の看板があふれるようになった。いずれ街ごと中国人に乗っ取られるのではないか。住民の間で不安が広がっています」
いったい、何が起こっているのか。地元の不動産業者D氏が案内してくれたのは、駅から徒歩20分弱のところにある、通称「陳さんロード」だ。
「ここは3年ほど前に完成した新築一戸建ての分譲地なんですが、表札を見てください。全20戸がほぼ全員、中国人と見られる名前でしょう」(D氏)
細い通りを歩くと、両側に真新しい戸建て住宅が並び、家の前で子供と遊んでいた女性は中国語で大声を上げている。D氏によれば、売出価格は土地建物合わせて6000万円ほど。不動産登記を調べると、驚くことに、半分程度の住人がローンではなく、キャッシュで一括購入していることがわかった。近隣の日本人住民に話を聞くと、
「ああ、“陳さんロード”ね。特に近隣の日本人と揉めた話はないが、交流はほとんどない。あの一角だけが異世界のようですよ」
川口市内では今、福建省出身者の台頭がささやかれている。数年前まで、威勢を張っていたのは中国東北部(旧満州)出身の中国人で、「ガチ中華」としてメディアに登場した多くの飲食店も中国東北料理の店が中心だった。しかしコロナ禍の最中、明らかな“変化”があったという。
地元関係者によれば、
「コロナ禍でマスク不足だった5年ほど前、とある福建省の関連組織が川口市に1万7000枚のマスクを寄贈するというニュースがありました。それ以来、その組織は市内に事務所を構え、その頃から福建省出身者による土地建物の取り引きが急増。同時に街では、福建料理の店をよく見かけるようになりました」
前出・日本人住民はママ友の中国人からこんな話を聞いていた。
「福建の人、上海や北京と違って言葉が汚い。だからすぐにわかる。うん、最近すごく増えている」
海を隔てて台湾と近接する福建省は昔から“華僑の故郷”と言われ、世界中に華人ネットワークを築き上げてきたこともあり、総じて外国で商売するノウハウに長た けている。そんな福建人勢力がコロナ禍の「マスク外交」で川口市政に深く食い込み、既存の東北勢力よりも強い影響力を持つに至ったのだろうか。
前出・地元関係者が嘆息する。
「コロナの前までも中国人が不動産を買うことはあったが、その大半が日本人業者からだったので、我々にもメリットがあった。しかし近年は中国系企業がまとまった土地を日本人の老地主から買い取り、宅地造成して、完全に中国人向けに販売するようになった。リフォームも中国系企業が請け負い、日本人には金が回ってこない仕組みになっている。家を買った富裕層の中にはまともに税金を払ってない奴もいると聞くし、教育や医療など日本のインフラにタダ乗りしていると思うと夜も眠れない」
川口市が福建省の「ホームタウン」と呼ばれる日も遠くはないかもしれない─。

