今週のGⅠは菊花賞(京都・芝3000メートル)が行わるが、レースのカギを握っているのは、武豊騎乗のマイユニバースだろう。同馬は前走の九十九里特別で大逃げを打って勝利したが、その時の2分32秒0は優秀だ。まだ2勝クラスを勝ったばかりだが、素質はなかなかのものといえよう。
そしてなにより強調できるのは、武が今秋のGⅠ2戦で7番人気と5番人気の馬を逃げ粘らせて、2着にもってきていること。乗れているのだ。
前走は横山典弘が騎乗したが、この馬の行きたがる面を考慮し、逃げの手を選択。それがうまくいったわけだが、舌を出しながら最後の2ハロンを10秒9、11秒2で走ってみせたのには驚かされた。
心肺機能が優れ、スタミナが豊富でなければ、あのような走りはできない。今回はその時よりも相手が強くなっているため、前走を再現するのは簡単ではないが、楽しみは尽きない。
逃げ宣言をしているジーティーアドマンとの兼ね合いが問題となるが、それほど心配はいらないだろう。未勝利、1勝クラスを中団から差して勝ったように、控えての競馬もできるからだ。
1週前調教に騎乗した武は、こう話している。
「テンションが高く、引っかかりそうだった。本番ではノリちゃんがしたレースを頭の中に入れながら、スタミナという武器を生かせるような工夫をするつもりです」
となれば、気合をつけてハナに立つような競馬は、まずしないだろう。
このレースはスタートしてすぐコーナーがあるため、11番枠では逃げるのが難しい。ひとつ内の枠に入ったジーティーアドマンを行かせるのではないか。
そして折り合いに注意しながらレースを進め、2周目の向こう正面からロングスパートをかける。「工夫をするつもり」という武のコメントは、そのように解釈できるからだ。
脚をためて末脚に懸けるような競馬では、エネルジコやエリキングに切れ負けしてしまう。そんな思いが、名手の頭にはあるに違いない。スタミナという武器を生かしたいのなら、ロングスパートをかけて押し切ってしまうのがベター。乗れている武ならば、それをできるはずだ。
長丁場のレースほどベテラン騎手の腕が頼りになる、とよく言われる。ここは菊花賞最多勝利騎手の腕を信じたい。
なお、レース当日の天気予報は曇り雨。もし馬場が悪化するようになっても、不良馬場で行われた京都・あずさ賞を勝っているので、問題はないとみる。
では、グッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)

