山田裕貴が主演を務める映画「爆弾」が、10月31日(金)に全国公開。今回、佐藤二朗演じるスズキタゴサクが無邪気な笑顔、とぼけた顔、しょげた顔、人を小馬鹿にしたような表情、そして突如の絶叫といった“七変化”を見せる場面写真が公開された。
■警察に連行された謎の中年男“スズキタゴサク”
本作は、「このミステリーがすごい! 2023年版」「ミステリが読みたい2023年版」で1位を獲得したベストセラー小説「爆弾」を実写化した話題作。爆破予告をしていく中年男と爆弾の在りかを探す警察との駆け引きが繰り広げられる、手に汗握る展開となっている。
山田、伊藤沙莉、染谷将太ら実力派集結に注目が集まる中、公開前から“異様な熱気”を巻き起こしているのがスズキタゴサク役・佐藤の怪演。現在実施中の一般試写会では、いち早く本編を鑑賞した観客から絶賛の声が続出しており、「いつもの面白の佐藤二朗ではなく怪演の二朗さんが衝撃」「佐藤二朗さんの演技がはまりすぎて怖かった」など、SNSには称賛の声があふれている。
物語の幕開けは、酔った勢いで自販機と店員に暴行を働き、警察に連行された謎の中年男。自らを「スズキタゴサク」と名乗り、霊感が働くと称して都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告。名前以外の全ての記憶は失っていると主張するスズキは、霊感で刑事の役に立つことができると申し出る。そして秋葉原での爆破を皮切りに、1時間おきに3回爆発が起こると宣言。刑事たちの問い掛けをのらりくらりとかわしながら、やがて爆弾に関する謎めいた“クイズ”を出し始める。
「人の心って、どんな形をしていると思われますか？」「“九つの尻尾”ってゲームをご存知ですか？」「日本にも体が牛で顔が人間の化け物がいますね。神の言葉は母と子のみか。天はいつも気まぐれですから」「刑事さんは、人を殺したいと思ったことはありますか？」「爆発したって、別によくないですか？」。爆破予告とクイズを繰り出しながら、スズキは刑事たちを翻弄(ほんろう)していく。
■底知れぬ闇を潜ませる“令和の化け物”
製作陣は、佐藤に断られたら映画化を中止するとまで語るほど、スズキ役に強いこだわりを持っていた。コメディの印象が強い佐藤だが、「はるヲうるひと」（2019年）、「さがす」（2022年）などで人間の矛盾や狂気を演じ、高く評価されてきた実力派。本作では、その真骨頂ともいえる演技がさく裂する。
さえない坊主頭に10円ハゲ、だが無邪気さの裏に底知れぬ闇を潜ませ、見る者を引きずり込む。スズキは単なる“悪”とも“狂気”とも言い切れない、まさに得体の知れない存在だ。一度見たら決して忘れられない“令和の化け物”が、観客の心をえぐり、突き刺さる。
スズキに翻弄される刑事たちは、彼に気に入られる等々力（染谷）、経験豊富な清宮（渡部篤郎）、鋭い観察眼と推理力を持つ類家（山田）ら個性派ぞろい。だが、スズキは彼らを嘲笑うように、余裕の笑みを浮かべながら精神を圧迫していく。取調室で繰り広げられる警察VSスズキの心理戦、頭脳戦の応酬は、息を飲む緊迫感だ。
公開された場面写真には、そんなスズキの“七変化”がずらり。その表情は実に豊かで、静止画からも佐藤の表現力がさく裂し、まるで狂気がスクリーンの外までにじみ出るような、圧巻のカットの数々は必見。なお、本編でのスズキは今回の場面写真にはない“さらなる顔”も披露している。
■伊藤沙莉も圧倒された佐藤二朗の怪演
共演者たちも、口をそろえて佐藤の怪演を絶賛。最初にタゴサクを取り調べる刑事・等々力役の染谷は、「台本で筋書きも知っているのにものすごくえぐられまして、それが脳裏に残ったまま演じていて。本当に冗談じゃなく、目をつぶるとタゴサクが出てくるんです。本当にもう、焼き着いちゃって。映画を見ていただいたら、皆さんもタゴサクがずっとついてくると思います。本当に素敵でした」と語る。
スズキの見張り役を務める刑事・伊勢を演じた寛一郎は、「タゴサクは本当に怖かったですね。僕は見張り役として皆さんより一歩後ろにいたんですけど、生で見るタゴサクの体の大きさとか、顔圧、不気味さがものすごく怖くて、僕のシネスコには映り切らずにはみ出ていました」とコメント。
交番勤務の巡査・倖田役の伊藤も、「本当に圧巻でした。怖さもありますが、無邪気さの絶妙な出し方がすごいなと思いました。対峙するとやっぱり怖いし、絶望を感じましたね」と圧倒されたことを明かす。
当の佐藤は、スズキについて「いまだに彼が何者なのか、僕も分からない」と語る。「でも、分からないままでいいかなって思ってる自分もいて。分かってしまったら、正常な人間は気が触れてしまうんじゃないかっていうぐらいの怖さを持っている人物のような気がしていて、だからスズキタゴサクを演じているのに、佐藤二朗はスズキタゴサクが何者かいまだに分からないです」と話している。
